がんばるせろな(仮)

夫のバルセロナ留学についてきた30代。コロナ禍のスペインをじたばた生きてます

Intercambio(言語交換)の感想5つ

 スペイン語ー日本語のインテルカンビオ(言語交換)に行ってみた。言語交換は別の言語でやったことがあるけれど、非対面だったこともあり、長続きした例はごくわずか。興味が偏っているとか、語学以外の目的がある相手だったとか、初心者すぎてあきらめてしまったりとか…。

 今回参加したのはMeetupというアプリで定期的に募集がある会。何年も前からあるようで、真面目そうな雰囲気もあり、お酒があまり入らなさそう&早めに終わりそうな平日の夜を選んで飛び込んでみた。

 学習歴1カ月程度の私が思ったことはこちら。

  • 初心者のうちは、話題は用意していった方がいい
  • スマホはなるべく持たず、筆記具を活用する
  • ネイティブ同士で話すのは、場合によりOK
  • 英語に頼ってもだれも得をしない
  • 助け合う気持ちはマストの持ち物

初心者は話題を用意していった方がいい

 ある程度話せるならフリートークのほうが勉強になるけど、初心者のうちは、自分自身や趣味に関係することしか話せない。だから、望み通りの分野の話を誰かが振ってくれるのを待っているだけでは、会話に入れる可能性はとても低い。知らない単語満載の会話は全然聞き取れないし。

 そこで、語学学校の時とは反対に、先に自分の話をした。教科書やノートを見せて「今勉強を始めて4週間です。レベルはA1の終わりの方で、直説法現在の基礎は知ってます。今日は不規則動詞を習ったけど、難しいので間違えると思います!」というようなことを、無駄にハキハキと言ってみた。

 日本語を勉強してくれる人はおおむね、日本人がどうスペイン語を学ぶのか、どこにつまづくのかに興味を持ってくれる。そして、今の自分のレベルを暴露しておいたおかげで、「今の話わかった?」「その単語の活用はこうだよ~」と教えてもらえた。そうやって教わった単語は忘れにくい。

 ついでに、こうやって気を回してもらうのが申し訳ないので、もっと頑張ろう!という気持ちになれる。

スマホはなるべく持たず、筆記具を活用する

 そうして何かを教わったときに「今メモする!」というと、覗き込んできてスペルを教えてくれたり、追加で説明してくれたりもした。手ぶらだったら流されるようなちょっと難しいフレーズでもメモするまで待ってくれたりしたし、初心者待遇をフル活用した感がある。後で調べようと思った単語を、カタカナで走り書きするのもよかった。こうかな?と間違った綴りでメモしてあとでわからなくなるよりは、カタカナ読みのほうがよほど通じた。

 スマホを使うのは良いけど、ずっとスマホを握って画面を見ている人に対しては「今は話しかけないほうがいいのかな」という空気になっている気がしたので、アナログで行くほうが好き。

ネイティブ同士で話すのは、時によりOK

 これは場の雰囲気によるけど、ネイティブ同士が話し始めた時に「今なんていったの?どういう意味?」と自分で聞けたり、「今のわかった?」といったん流れを止められる人がいるならOKだと思う。ネイティブと話すのが目的でも、ネイティブ同士の会話から面白い単語が拾えることもある

 これに絡んで、どこまでスペイン語で、どこまで日本語で話すかというのが悩ましかった。スペイン語の練習はしたいんだけど、今無鉄砲に話し始めたら3秒でつまづく…でも日本語で話したらマシンガントークになりそう…。と、何度も戸惑った。スペイン人たちはスペイン語の単語をスペイン語で説明してくれたから、私も同じようにすればいいのだろう。なるべく普通の日本人でいればいい。

英語に頼ってもだれも得をしない

 これが最大の反省。あまりに恥ずかしいので書き残しておく。

 語学学校では英語に助けられているけど、ここはスペイン語ー日本語の言語交換。「英語なら言えそうなのに(言えるとは言っていない)」と思ってしまうことが何度かあり、そのたびに無意識に相手をひとくくりに「外国人」扱いして、だから英語で何とかなると思ってしまっていることに鳥肌が立った。

 自分が学ぶ上で「日本語に頼るのは最終手段」と考えていた時間が長かった。けれど、言語交換ではそれが相手の勉強にもなるわけで、「日本語だとわかってもらえないかも」という考えを持つのはとても失礼なことだ。わかってもらえるという期待を持って話さないといけなかった。

 日本語ロスになったことはあっても、ホームシックにも、和食ロスにもなったことがなかった。なので、自分はどちらかというと「海外?どんとこい!」側の人間かと思っていたけど、こんなところで情けなさすぎる思考の偏りを発見した。

助け合う気持ちはマストの持ち物

 自分の日本語力を100としたら、多分英語は30~40くらいで、スペイン語は1か、よくて2くらいだということも痛感した。英語に頼るからなんとなく会話できた気になるけど、100か1かの世界では「相手がわかろうとしてくれるからこそ伝わる」というありがたみをより強烈に感じる。相手にとってもそれは同じはず。

 それに、もし今後スペイン語がうまくなるとしたら…。なるべくこの気持ちは忘れずにいたいけど、そのときは贅沢にも、また別なことで悩むかもしれない。だとしたら、自分も一緒にウンウン言いながらコミュニケーションを作るという達成感がこれほど大きいのは今だけかもしれない。

 

 何事も良い面と悪い面がある。インテルカンビオも賛否両論あるのは知っている。これ以外の学習方法もあるから、自分の性格と相談だ。

 私はこういう機会があると「もっと頑張ろう」と燃えるタイプ。なので、少し自信が出てきたときに調子に乗らないよう、自分の鼻っ柱を折るのにはもってこいだと思っている。

夏目漱石が好きだというだけの話

 夏目漱石が好きだ。文学畑ではないので勝手な感想でしかないけれど、クズな主人公をクズのまま描き切る筆力が好きだ。日本語ロスで辛くなった時用と、語学頑張るハイになった時用に、わざわざ数冊持ってきた。そしてこちらでも買い足した。常備薬のような位置付けだ。

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 夏目漱石の描く主人公は大抵、多少頭はいいけれど、少年漫画のヒーローのような明るさはなく、努力と友情と勝利のうち最低1つは欠けていて、それにちょっとコンプレックスを抱いていたりする。今風に見れば、拗らせ系と言えなくもないか。そして、変わりゆく明治の世界を、戸惑いながら、あるいは膝を抱えながら見つめている。自分自身は変わり映えのしない日々を送っているのだけど、急激な時代の変化の中では、変わらない自分こそが世の中を定点観測する「現在地」になる。

 変わりゆく世の中と、変われない自分。そのあわいに生まれる葛藤は、教訓のようなわかりやすい形はとらず、曖昧模糊とした内省として熟していく。なのに、100年経った今読んだって、なんとも切れ味が良い。

 いっちょまえに自分を責め続けたり、誰かを責めてみたりはするのに、心が弱めで行動が伴っていない感じの主人公。でも、ふと気づくと、何か強烈な洞察を得ている。私には、それがとても自然で、いつか自分にも起こりそうなことだと思える。

 

 それにしても、どれほど自分を厳しい目で見つめれば、架空の人物の内心にここまでリアリティをもって迫れるのだろう。何度かその苛烈さを想像してみたことがあるけれど…私にはとてもできないな、とため息をつくばかり。きっとどこかで自分を甘やかすか、目をそらすか、辛くなってしまうだろう。

 年表をたどると、夏目漱石は1900年ごろにイギリスに派遣留学した際、挫折にも似た苦しい時間を過ごしたとのらしい。33歳ごろだという。当時と今では年齢に伴う責任の重みが違うけれど、大人になってからの挫折がいかに心にくるか…想像してあまりある。そして(私の妄想だと思うけれど)身を切るようなその苦しみこそが、鋭い洞察と痛々しいほどに深い内省を育てたのだとしたら。やはり私には、この先達を敬愛することしかできない。過去に気持ちが届くなら、毛布と温かいお茶と後世での評価を差し入れたいところだ。

 

 たしか、中学生くらいのときに「読書感想文の推薦図書だから読んどこ」という雑な動機で手に取ったのが初文豪作品、初夏目漱石作品だった。当時の感想文にはありきたりなことしか書けなかったけど、その経験はただ一度の作文のために消費されたのではなかった。なぜかずっと私の中で育っていて、20年かけてようやく孵化したように思う。そんな出会いが、人生であと何回あるだろう。そう思うと、愛おしさすら感じる。

 

 もちろん、私は国の代表ではない。それどころか、好きで勝手に新天地スペインにやってきた。飛行機で1日しかかかっていないし、語学も家族との連絡もスマホがあればなんとかなる。夏目漱石と比べるなんて、おそれおおすぎるのは理解している。

 でも、少しへこたれそうになったり、自分を甘やかしたくなったりした時には、持ってきた本を手に取ったり、眺めたりする。この人の努力や忍耐、もっといえばこの人の人生がなかったら、私はきっと今とは全く違う人間になっていた。それと同じように、今自分がする努力や忍耐が、もしかしたら私の人生そのものが、いつか誰かの何かになる可能性だって、0%ではないかもしれない…と思えるのだ。

 

 24時間365日頑張ることはできない。でも、人生において頑張らなければ後悔する局面があるとしたら、今は間違いなくそのひとつ。

 基本的には自分のためにしか生きたくないと思っているクズが私だ。でも、ひとのためになるかもしれないなら普段より頑張れそうかも…と思うことだってある。

 なんて、数冊の本でこんなに考えてしまうくらい、夏目漱石が好きだというだけの話。

階数表示の怪。事実は辞書よりも奇なり

 海外に行くと、建物の階数表示が日本と違って驚くことがある。スペインもそう。

  • スペインには0階がある
  • 0階以外にも色々ある

スペインには0階がある

 たとえば、これはカタルーニャ広場近くにあるユニクロと、PRIMARKという服屋さんのフロア案内。

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 背景の色が違うのは0階。日本の1階にあたる。地下1階はー1なので簡単。数直線で考えれば、0階がある方がロジカルな気もする。一方、日本の「地上の1つめの階」「地下の1つめの階」という発想も納得できる。

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0階以外にも色々ある 

 私の通っている語学学校の教室は「PRIMERO(1番目)」という階にある。スペインの1階=日本の2階のはずなんだけど、実際は…日本でいう4階にある

 まず入ってすぐの階は【PB】PLANTA BAJAと呼ばれている…と思う。これはとてもざっくりいうと「下の階」という感じ。日本の1階のこと。

 そして、階段をちょっと上がると【E】ENTRESUELO。entreは~の間に、sueloは床という意味。手元の西和辞書には「中2階」と書かれている。ここにもちゃんとした部屋があり、ほかの階との差は感じない。なので、1つの階として数えていいと思う。むしろPBのほうが、受付と郵便受けしかない分天井が低い気がする。

 さらに、その上に【P】PRINCIPALがある。辞書には「2階」とある。日本人学習者向けの辞書だから、日本でいう2階のことだ。ここまでは、地上階、中2階、2階…だから、つじつまはあっている。ちなみにメインの意味は「主要な」。ウェブサイトのトップページなんかもこう呼ばれることがあるみたいだ。

  そして、やっとその次がPRIMERO通算4階めだけど、エレベーターには【1】と出る。ついに数字のお出まし!ちなみに、辞書にはこちらも「2階」と書いてある。スペインの1つ目の階なら、日本の2階だ。なにも間違ってない。さしあたり、PRIMEROというのは、特別な名前のない階として1つめ、という意味合いで理解すれば筋は通る。

 

 というわけで、私のクラスは「字面的にはスペインの1階(日本でいう2階)だけど、実際はスペイン人が3階と呼びそうなところ(日本の4階)にある」。事実は辞書よりも奇なり。

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 無理やり図解してみてもやっぱり訳が分からないので、クラスメイトたちも「ここ何階かいまだにわからないよね~」とよく笑っているし、グループチャットのルーム名もこの混乱にちなんでいる。

 4階まで階段で行くと思うと少し億劫な時もあるけど、PRIMEROまでと思えばそんなにつらくないのも不思議で面白い。

 

 他にも数字じゃないフロア名がもっとあると思う。すでにAとかBというエレベーターのボタンを見たことがある(正体の見当はついているけど、初対面の方のピソだったので確かめられなかった)。

 とにかく、建物によって色々あるようなので、待ち合わせの時はフロア表示を確認するようにしている。

 

canary-limon.hatenadiary.com

 

シンガポール航空でバルセロナへ。検討したポイント5つ

 バルセロナへの飛行機といえば、欧州や日本のレガシーが思い浮かぶ。けれど、私たちはシンガポール航空を選択した。夫に提案されるまで思いもつかなかったけれど、割と良いチョイスだったと思っているので、決めた理由を記録しておく。

 先に内容を列挙しておくと、こんな感じ。

  • メリット1:とにかく安い
  • メリット2:サービスがとても良い
  • メリット3:コロナ対策が厳しい
  • デメリット1:とにかく時間がかかる
  • デメリット2:無料預け入れ荷物が1人1つだけ
  • 注意点:機内が結構寒い

メリット1:とにかく安い

 時期にもよるけれど、欧州や日本の大手など、真っ先に思いつく航空会社なら、片道20万円前後くらい。シンガポール航空は片道10万円程度だった。2人だと、かなり浮く。私費留学なので、大口の出費はなるべく抑えたかった。

メリット2:サービスがとても良い

 アメリカから長距離フライトで来る友人たちが、「ユナイテッドは使わないよ。だってシンガポールエアーがあるから!」などと大絶賛していて、評判はよく知っていた。

 それを自分で体験してみて…。CAさんの親切さ機体の新しさ・清潔さ機内食のおいしさなど、驚きの連続だった。ヨーロッパ方面に行くときに欧州系のキャリアも使ったことがあるけど、全然負けないどころか勝ってると思う。さすが、エアライン・オブ・ザ・イヤー総合世界第3位(※AirlineRatings.comによる。参考URLは記事末尾)

 時節柄、CAさんの人数と同じくらいの客しかいなかったからというのもあるだろうけど、面倒見がよくて長距離移動が苦にならなかった。

 ちなみに、オリンピックの終わりごろに利用した方のお話では、競技を終えた選手の帰国と重なり、もう少し混んでいたみたいだ。

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 ボタンで明るさを調節できる窓ガラス。目新しくて感動したし、実用性もあってかなり楽しんだ。

メリット3:コロナ対策が厳しい

 国自体の水際対策がしっかりしているので、ガッチリ管理される。よく言えば安心、悪く言えば窮屈。

 例えば、搭乗前にはPCR検査の陰性証明の提出が必須。搭乗時刻の72時間以内のものが必要で、成田空港で1人3~5万円だった。結構な値段に感じるけれど、コロナ禍の中、自己都合で移動するのだから当然の出費だろう。スペイン入国時には不要だったのが、いいのやら悪いのやら。

 搭乗時には"Care Kit"という袋が1人1つ渡される。中身は手指消毒用のアルコールジェル、除菌シート、そして個包装済みのマスク。

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 機内はガラガラで、客とフライトアテンダントどっちが多いかいい勝負だったけど、その分トイレは空いている時間が長くて、密な列ができることもなく、まめに消毒されていた。

 チャンギ空港でのトランジットも管理が厳しい。手首にトランジットの目印のリボンを巻かれ、決められた待合エリアで待機する。複数の便の乗客が同じ場所で待っている。乗り継ぐ便のフライトナンバーが読み上げられたら、それに乗る人たちが一か所に集まり、小学校の遠足のようにひとかたまりで搭乗口まで移動する仕組みだった。

 空港内のホテルで休みたいので移動していいかと尋ねたら、防護服の人が小型のバギーで送迎してくれることになって、申し訳なかった。移動中に見えた範囲では、待合エリア以外の椅子は大きなラップみたいなものでぐるぐるにまかれ、お店はほとんどしまっていた。閑散とした空港に、防護服姿の職員さんたち。コロナ禍とはこういうものだ、と改めて認識させられた。

 コロナ禍でたくさんの方が移動を自粛されている中、そしてアジア系へのヘイトクライムが報じられている中の渡航だったので、なるべく堂々としていたかった。なので、私たちにとってこれはメリットだった。もちろん、人によってはデメリットにもなる。

デメリット1:とにかく時間がかかる

 飛行ルートは、成田ーチャンギシンガポール)ーミラノ(イタリア)ーバルセロナ(スペイン)だった。

 ミラノはそこが最終目的地の人だけが降りる中継地で、トランジットはチャンギでの約6時間が1度だけ。それでも、赤道付近を大回りしていくわけで、バルセロナに着くまでに24時間以上かかった

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 シンガポールからミラノまでの飛行ルート。地球の半分を駆け抜けた感がある。この前に日本からのルートも加わってくるので、一刻も早く移動したい!という場合には向かなさそうだ。

デメリット2:無料預け入れ荷物が1人1つ(エコノミー)

 3辺合計157cm以内、重さ25kgまでのスーツケースが各自1つ無料だった。必死で荷減らし&荷造りをしたけど、持ち物の取捨選択は大変だった。浮いたチケット代を上回る額ではないけれど、こちらで服を買い足したりはしているので、そこのバランスをどう見るか。

 ちなみに、手荷物は6~7kgのものが1つ。女性用の手回り品・専用のケースに入ったPCなどは別途持ち込みが可能。手荷物のほうはそんなに厳しくは見られなくてラッキーだった。

その他注意点:機内が結構寒い

 CAさんに聞いた話では、シンガポール航空は機内の空調が強めなことで有名らしい。ブランケットは言えば普通に複数枚もらえる。けど、暑がりな人以外は、何か防寒対策をしておいた方がいい。

 

参考記事:AirlineRatings.comより

www.airlineratings.com

会話を始める•止めない4つの小技

 実は語学学校の初日はほとんど誰とも話すタイミングがなくて、帰り道で「語学学校 友達 できない」なんて検索していたクチだ。当然のごとく「待ってないで自分から動こう」という正論すぎるアドバイスがでてきて、それができたら苦労しないよ~、なんてため息をついたりもした。

 幸いクラスメイトに恵まれ、友達…かはわからないけど、雑談やグループチャットをする程度の関係を保てているので、彼らから学んだことをメモしておく。自分から動かないといけないという部分は変わらないけれど、そのハードルを少し下げるコツみたいなものはあると思った。

  • 初対面なら、名前を聞く
  • How are you? ¿Qué tal?でもいいから、挨拶の後に何か言う
  • 相手にかかわる話をする
  • ゆっくりなら話せるよ、とアピールしておく

まずは名前を聞く 

 授業で一通り自己紹介をした後でも大丈夫。日本人同士でも名前の漢字を聞くこともあるわけで、相手が海外の人ならスペルがわからなかったり、発音が難しい気がしたりするのは当たり前だ。

 「ごめん、もう一度名前を聞いてもいい?綴りと発音はこれであってる?どこから来たんだっけ」と、何度も聞かれたし、私も真似して同じように聞いた。

 「覚えてねぇのかよ」と悪くとる人よりも「ちゃんと覚えてくれるんだ!」と快く応じてくれる人のほうが多い気がする。

 私のKanaというシンプルな名前でさえ「カニャ」「ハナ」「ハワイアンコーヒーのコナでしょ」と、いろいろ混乱されている。「Hannahの最初のHをKにする感じ」と言うとそこそこ通じる。「HannahやKonaでもいいよ」といっても、こだわろうとしてくれる人もいてほっこりする。

 この会話が1回しか使えないのが残念。翌日からは…

How are you?の類を駆使する

 挨拶の後は、とにかく話を振りやすい。How are you?でもいいから、「おはよう」のあとに何か聞く。ネイティブにはなんてことのない定型会話だと言われているけど、結構助かる。

 相手に話したいトピックがあれば話してくれるし、「昨日頭痛いって言ってたけど、もうよくなった?」とか、いつも一番に教室に来る子には「なんでそんなに早いの?」とか。毎日顔を合わせていることが追い風になる。

相手にかかわる話をしてみる

 話のきっかけがつかめたら、相手に話を振る。答えるより聞く方が簡単だから。答える立場になる前に、相手に答えてもらう。先手必勝。

 相手の国のことを聞こうかな、でも偏見やステレオタイプだと思われたらいやだな…とぐるぐる悩んでいた私に対して、クラスメイトの会話は拍子抜けするほどシンプル。

 「そのショールは自分で編んだの?触ってもいい?どのくらい時間がかかったの?」とか「分厚いマスク暑くない?」とか「扇子で仰ぐのって涼しい?」とか。すごくハードルが低い。なのに、思いがけずそこから話が広がることもあって、コミュ力のない私は驚いてばかりいる。

 思い浮かばなかったら、授業中の発言や態度がヒントになる。「スペイン語上手だよね!さっきあてられたときすごかった!」とか「エアコンきつい?」とか。「毎朝来るの早いね」でもいい。

ゆっくりなら話せる、と伝えておく

 せっかく会話がつながりかけたのに、自分のターンでつっかえてしまうことがよくある。気まずい、恥ずかしい、笑ってごまかしたい…。と思ったら、一度流れを切ってもいいから「話すのが遅くてごめんね」と伝える。今までこれであからさまに愛想をつかされたことはない。

 「話したいことはたくさんあるよ!ただ英語がついてこないんだよ!」みたいなニュアンスが伝われば最高だ。語学学校に来ている人は多かれ少なかれ、外国語で話すもどかしさを知っている。「大丈夫だよ、ゆっくり考えて」といってもらえたり、「こう言いたいんじゃない?!」とクイズ大会が始まったり、あらゆる種類の助け船を出してもらえる。次につっかえたときも、多少楽な気持ちで考えられる。

 話したい気持ちがあることをはっきり伝えるだけで、状況がガラリと変わる。

 

大事なのは、「話したい気持ち」「相手への関心」を態度で示すこと。

 それが伝わっていたら、言葉に詰まった瞬間に自分のターンが終わることは少なくなる。もちろん、毎回話せない言い訳をしているだけだとすぐバレるから、努力は必要。

 とはいえ、これで友達になれるか?というと…。どこからを友達と呼ぶかによる。

 私は「知り合い」から「友達」と思うまでがとても長くて、友達と親友はだいたい同じ。なので、浮かない程度に話すという心がけは、友達になるきっかけ程度に思っている。

 そして、もうひとつ大事なことを認識しておかなければいけない。

大人になってから、一生モノの友達を作るのは難しい

 日本人同士でさえ、定期的なお付き合いがある友達になれて、さらに長期間友達でいられるのはほんの一握り。みんなそれぞれ、自分の人生で忙しい。限りある余暇を何に捧げるかにも性格が出る。そこが合わないと、長期の付き合いは続かない。

 高校生の頃にごく短期間、アメリカに交換留学&ホームステイをしたことがある。何人も現地の友達ができたけれど、大人になった今も頻繁に連絡を取っているのは1人。その子とは、留学中から1番の友達だったかと言われると、わからない。よく遊ぶグループのひとりだったから連絡先は知っていたけど、何年も後になってから趣味が同じ編み物だということがわかって、気が付いたらのんびりとLINEが続いていた。

 何がきっかけで、知り合いが友達に変わるかはわからない。それがいつ起きるかもわからない。だから、過大な期待をするとつらいかもしれない。でも、話しかけなければ可能性はゼロ。

 

 語学学校なら、同じメンバーと毎日会うし、しかも初心者クラスでは自己紹介や趣味の説明など、自分の話が題材になることも多い。必然的に、クラスメイトの人となりを断片的に知る機会が多く、探せば話題はたくさんあるはず。

 それに、みんなそれぞれのタイミングで学校を去って新しいことに挑戦していく。極論だけど、失敗しても大丈夫な後腐れのない相手とも言える。

 

 今回は人づきあいの上手な子、さりげなく気配りのできる子がいたから浮かずに済んでいる。でも、クラスや学校を移ることがあったら、今度は自分で人間関係を作ることになる。その時に、こんな理想論をぶちまけた自分を恨まないといいんだけど。

 

 ちなみに、初日に全然誰とも話が弾まなかったのは、スペイン語オンリーの授業に疲れきっていてそれどころじゃない人が多かったからみたい。

洗濯機の使い方メモ

あまりの多機能さに使い手の知性が問われそうな洗濯乾燥機。ある程度使い方がわかってきたので、過去の自分が知りたかったことをメモしておく。

  • 操作パネルの見方
  • 洗剤ケースのこと
  • 使っているもの
  • 硬水地域のカルキはとても強い

操作パネルの見方

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 左の青く囲った部分が「洗いたいものの素材」「水温」の組み合わせ。

 Algodónは綿。タオルやリネン類、肌着など、直接肌に触れるものが多いので、水温の選択肢も多い。90℃はまだ使ったことがない。

 綿のふわふわしたイメージと、アルゴドン!という強そうな語感のギャップが印象的すぎてすぐ覚えた単語。今も書いていて「!」を付けてしまったし、色を付けて太文字にもしてしまった。こんなタイトルのパニック映画があったら、きっと見るだろう。alで始まる単語はアラビア語由来のことがあるけど、これもそうなのかな?なぜか言葉のほうに興味がそそられてしまう。脱線。

 Sintéticosは合繊。Delicadosは明確な定義がわからないけど、優しく洗ったほうがいいもの。管理会社さんも「デリケートなもののことよ~」と言っていたので、たぶん今はそれでオッケーだろう。高い服とかかな?持ってないけど。

 Lanaはウール。編み物好きなので、これはとても気になる。日本では手洗い&手絞りだったけど、ひょっとしてこれなら楽ができるのだろうか。と思ったけど、手編みのものを入れてみる勇気はない。何かあって洗濯機ごと壊したらと考えると…。既製品のウールものだけにしておくつもり。

 ひとつだけぽつんとある30℃のダイヤルは、素材不問のお急ぎコースのようなものではないかと思う。日本と同じくらいの時間で洗い終わるけど、ほかのコースより極端に早いので、どのくらい洗えているのかよくわからない。

 ほかのダイヤルは乾燥や脱水の単機能だと思う。まだ使ったことがなくて、マニュアルをちゃんと読んでいない…

 洗濯機の容量が7kgしかないことに最初はびっくりしたけど、こんなに細かく分けてたらそうそういっぱいにはならないな~と納得した。

 我が家の衣類はほぼ綿なので、黒系の「白い繊維くずがついたらいやなもの」と、白系の「白っぽい繊維くずが出そうなもの」の2つに分ければ、基本的には足りる。

 右の赤い枠の中は、コースを決めた後に細かく調整するもの。

 一番左のボタンは脱水時の回転数。乾燥機を使うなら1200にしておかないと効果が最大化できないらしいので、ずっと1200。デリケートなもので部屋干しする場合はまた違うと思う。

 その次のボタンは、文字通りオプション。マニュアルをさっと読んだ限りでは、汚れが強いもの、とか、皺になりにくいように、とかのはずだけど、まだ使ってない。

洗剤を入れる場所

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 ①と③は洗剤入れ。なんで二つポケットがあるのかな?と思ったら、③は泥がついたり汚れの強い服などを余洗いするとき用らしい。

 ②は柔軟剤入れ。汗臭い服のにおいとりもこちら。

 ほかに、カルキ抜きや色移り防止シート等は製品によっては洗濯槽に直接入れるものもあるみたい。新しいものを買うときは説明を確認するのに時間がかかる。

 この洗剤ケースは大きくて使いやすいんだけど、使った後はカビ防止のために引き出した状態で乾かすので少し場所をとる。

今使っている洗濯グッズ

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 左奥から時計回りに、柔軟剤、洗剤、洗濯槽のカルキとりタブレット、消臭剤。

 スーパーにいくと、もっと細分化された洗剤がずらりと並んでいる。色柄物用が何種類もあるし、柔軟剤も種類が豊富。色付きの液体が透明なボトルに入っていることが多いので、ちょっとおいしそうにも見える(かもしれない)。

 ちなみに、当初何が何だかわからずに一番安いのを買ったら、洗剤じゃなくて消臭剤だった。汗臭くなった服とかに使うやつ。それだけでは洗濯できないので、慌てて洗剤を探して買った。

 とにかく選択肢がたくさんあるので、いろんな組み合わせを試してみたい。

硬水地域バルセロナのカルキ

 hard water map spainなどで検索すると、水の硬度ごとに色分けされた地図ががずらずらと出てくる。軟水地域の日本ではあまり見かけない地図だけど、こちらではそれだけ需要があるということだろう。分類にばらつきがあるので引用はしないが、バルセロナはだいたい、1番上か2番目の区分になっている。

 正直、日本ではカルキなんて、魚を飼うときに気にするくらいだった。でも、バルセロナではそれではいけない。ある日、洗濯槽のカルキ抜きをしないまま白いタオルを洗ったら、灰色になってしまった。衝撃的すぎて、未使用のタオルと並べた写真をたくさん撮った。今思うとだいぶ混乱している。

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 白いタオルばかりを洗って色がつくとは…。ネット検索にお世話になり、これがカルキの影響らしいと知って、洗濯機用や水回り掃除用のカルキ取りを買いに走った。

 海外在住の方の体験談を拝見していると、硬水地域では黒ずみも、手触りが悪くなるのも、あるあるのようだ。日本では柔軟剤はあまり使ってこなかったが、こちらでは必須だと思っている。

 

 洗濯は大好きなので、こちらで長く暮らしている方と知り合う機会があったら、根掘り葉掘り洗濯のコツを聞いてみたい。「普段どう洗濯してる?」と聞けるようなお友達ができるかどうかは、洗濯機の使い方より未知数だけど…。

 

見慣れない洗濯機に悪戦苦闘した話(過去記事)

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ヨーロッパの洗濯機と格闘した話

 入国から1週間くらいで、気に入ったピソ(アパート)に無事入居できた。でも、ヨーロッパの家に住んだことがない私たちには、簡単そうなことほどわからない。

 そんな話はいくつもあるけど、まずは洗濯乾燥機のことを書かないと始まらない。

 最初に内容を箇条書きで。

  • ヨーロッパの洗濯機は日本のと全然違う
  • 洗濯物が外干しできない悲しみ
  • そんな中、備え付けの洗濯機が色々おかしいことが発覚
  • 交渉し、新しいものと入れ替えてもらえた!
  • 洗濯が好きなので文章量(もしくは熱量)がねっとり多めです

 さて、これが今回の主役、我が家に備え付けの(初代)洗濯乾燥機さま。

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色々違いすぎて説明が難しい

 私が調べた限りだと、ヨーロッパの洗濯機は

  • 排水の都合なのか、キッチンにあることが多く
  • ダイヤルで素材と水温を細かく指定し
  • ボタンで脱水のスピン速度や洗濯乾燥の時間を調整し
  • 洗剤や柔軟剤、カルキ抜きなどあちこちに色んなものを入れて
  • ドアを一度締めたら途中で開けることは基本的にあきらめた方がよく
  • 1~2時間洗濯し、乾燥はさらに2~3時間
  • 時々お酢を入れて空回ししてカルキをとるらしい(未経験)

 という感じのようだ。

 アイロンまでしないと気が済まない人もいるらしく、煮沸消毒文化なんだなぁと思い知らされる。流行病と戦ってきた地域だもんなぁと想像したりもした。

外干しできない…

 バルコニーやテラス等、建物の外観に含まれる場所に洗濯物を干すことができない地区があるようだ。私たちのピソも、洗濯物の外干し不可という契約だった。

 バルセロナの町並みは統一感があってかわいらしく、なんでもないような通りでもついつい写真をとりたくなる。もしそこにタオルやシーツ、パンツなんかがだらんと干してあったら…それはそれで味はあるけど、やっぱり少し残念かも。

 でも、私も日々カビと戦う日本人のはしくれ。カラッと晴れたバルセロナで洗濯物を外干ししたら、きっとすぐにふかふかに乾くはずで、「こんなに嬉しいことはないのにもったいないなぁ~」なんて思ってしまう。

 電気代も怖いし。スペインの電気代は年々上がる一方だそうで、不動産仲介業者さんもちょびっと悪態をついていたほど。日本のペースで洗濯するのは論外だけど、毎回3時間も乾燥していたらどうなってしまうんだろう?

そんなことを考えていたら問題発生。乾燥機能はいずこへ

 洗えてはいるけど、全然乾かない。7kg用の洗濯機に、男物のTシャツ3枚だけなのに。3時間も乾燥機回したのに。

 乾燥するときは容量の半分までしか入れないでねって言われていたけど、夏物のTシャツ3枚で3.5kg超えなんてあってたまるか。冬はどうするんだ。

 外干しはできない。乾燥機は働かない。普段は自宅を心の砦だと思っている私だけど、この時ばかりは地獄かと思った。

 ほかにも、仕上がりまでの残り時間が「0:01」から動かず、アラームが鳴らないのでこちらが察してドアを開ける必要があったり、スタートボタンを押した瞬間から「terminado(終わりました)ランプ」がずっと点灯していたりもした。

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 この2点については「年季が入ってたらしょうがないかな」で我慢できる不具合だけど、乾燥できないこととあわせて管理会社の担当者に連絡した。私は基本ダラだけれど洗濯は好きなので、つたない英語で洗濯への情熱をアピールしたつもりだ。

 ピソの内見時に「(退去時の敷引きが怖いから)家をきれいに使いたい。掃除や洗濯の注意点があったら教えてほしい」と担当者さんに聞いていて、きれい好きだと思われているっぽいこともあり、すぐ返事がもらえた。

新しい洗濯乾燥機がきた!

 ちょうどピソの不具合申し立て期間内でもあり、数日でメーカーの人が確認にきてくれた。3点全てについておかしいとの診断で、「直す方が高くつくので、新しいのを買う」ということで決着した。

 その間、室内干し用のラック"tendedero"を購入してしのいだ(これはとても良いアイテムなので、いつか別記事で感謝を語りたい)

 問い合わせから10日ほどで届いた新しい洗濯乾燥機様はこちら。すべてがきちんと動くって素晴らしい。

f:id:kananuk:20210902032134j:imageちなみに、洗濯コースはまだドキドキしながら選んでいる。

その後こうなった

 結局、電気代怖さとtendederoの便利さから、乾燥機は90分を目安にし、七割くらい乾いたらあとは部屋干し+扇風機で乾かしている(夫が扇風機を使っているので風下にtendederoを置いている)。3時間乾燥させたアツアツの洗濯物だって、結局冷ますのに軽く広げたりするし、手間的には同じくらいのはず。

 電気代は2カ月ごとの請求らしく、金額を見てみるまで何とも言えないけど、冬までの落としどころが見つかったような気はしている。

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 Tendederoはこんなの。腰の高さくらいあり、軽くて折り畳めるので大好き。

 

 洗濯乾燥機がスペインのメーカーに変わったので、取説がスペイン語のものしかなくて格闘しているのは、また別の話。その翌日、カーテンレールが天井から落っこちてきたのも、また別の話。

 鍵の開け方がわからなくて試行錯誤していたらドアノブが外れそうになった、なんて話もある。