半砂漠の絶景を求めて。「バルデナス・レアレス」に自家用車なしで行った記録
Googleマップで遊んでいる最中に見かけて以来、スペインの火星と勝手に呼んでいる不毛地帯Las Bardenas Reales(ラス・バルデナス・レアレス)。
アクセスマップを見ても自家用車向けの情報ばかりなのだけど、電車とバスを乗り継いででも辿り着けた。マウンテンバイクを借り、サイクリングも楽しめた。多少頑張ってでも行ってよかったなぁと思えている。
というわけで、この経験がいつか誰かの役に立つかも?と思い、記録しておく。
絶対に書き残したいことは2つ。経路検索はInterbus社のバスが便利で、自転車に乗るならお尻の保護を怠ってはいけない。以上です。
これだけでは誰の役にも立たないと思ったので詳しく書きます。
目次はこんな感じ。
- バスのモデルルート提案
- まずはInterbus社でルート検索を
- マウンテンバイクレンタルの流れ
- モデルコースは最低4時間。旅程と装備に注意
- その他の注意点
- おまけ:当日の移動にかかった時間まとめ
バスで行く場合のモデルルート提案
いきなり結論から。バルデナス・レアレス最寄りの町はArguedas(アルゲダス)という。この町へは、Interbus社のバスでサラゴサかパンプローナから行くのが、現実的かつ気楽だと思う。(Interbus社のウェブサイト:Web de transportes Interbus - Interbus)以下が、超簡略化したルート図。
距離感がわかるよう、グーグルマップに印をつけるとこんな感じ(縦長画像です)。
以下、このルートについて、経験談を交えつつ、順を追って補足していく。ここまででOKな方は、お尻に注意して出発してくだされば幸いだ。
まずはInterbus社でルート検索を。
バルデナス・レアレス最寄りの町・アルゲダスに鉄道駅はなく、Interbus社のローカルバスが1路線通っている。最大1日6便と本数が少なく、接続の良い便はさらに少ないため、Googleマップの経路検索にうまく引っかからないことがある。そこで、このバスを直接探すことにした。
このローカルバスはInterbus社のL354という路線で、すぐ近くのTudela(トゥデラ)という町から出る。そのトゥデラには、鉄道と、Interbus社のパンプローナ~サラゴサ路線が止まる。知っている都市名が出てきた~!やったー!
というわけで、バスの場合、Interbus社のサイトからサラゴサ~アルゲダス、またはパンプローナ~アルゲダスのバスを探してみるとよい。接続の良い便が見つかればラッキー。見つからない場合は、トゥデラまでのバスとトゥデラからのバスを分けて探すと良い。本数が少なくて、こちらがバスに都合を合わせないと出てこないだけなので。自然を求めていく旅って、そんなもんだよなあ。
私たちはサラゴサからのバスに乗り、1時間ちょっとで着いた。夜遅くの到着だったので、トゥデラのホテルに前泊した。ロビーにはバルデナス・レアレスのポスターや観光情報がたくさん張り出されていて、砂漠訪問の拠点になっているようだった。発着地がどこなのかはわからなかったけど、セグウェイや四駆での現地ツアーなんかも案内があった。今回は、ちょっとやる気があったのでサイクリングを選択した。
マウンテンバイクレンタルの流れ
翌朝、朝9時半のバスでアルゲダスへ。10時前には到着した。
バス停を降りた瞬間は、ひびが入った幹線道路の両脇に工場やら倉庫やらが並んでいる殺風景さにちょっとびっくりした。でも、一本入ればキレイでかわいい町だ。
ここからバルデナス・レアレスまでは、レンタルマウンテンバイクで向かった。お世話になったのは、夫が探してくれていたCiclos Marton(シクロス・マルトン)というお店。
自転車+ヘルメット+緊急修理用具一式を貸してくれる。借りている間は、パスポートを預ける。電話で事前に予約をしておいた。①名前②何日の何時に着くか③マウンテンバイクの種別④だいたいの身長(または自転車の高さ)、の4つを聞かれた(やりとりはスペイン語で頑張った!)。
マウンテンバイクの種別というのは、電動かどうか。人力なら1日20ユーロ、電動なら1日50ユーロ。電動は「バッテリーは4~5時間くらい持つけど、風や体重にもよる」とのこと。充電が切れたら重く感じるかもと勝手にビビり、人力にした。
頼んだら店内で着替えさせてくれて、小さな荷物も置いて行かせてくれた。なので、サイクリング用の服がなくても、多少は動きやすい服、そしてお尻を守る何かを装備するとよい。私たち以外のサイクリストは大体弱虫ペダルみたいな恰好をしていた。
モデルコースは4時間~。旅程と装備には注意
店主さんは、地図を書きながらルートの説明をしてくれた。ここでもう1つ聞かれたことがある。それは、帰りの時間。何時にアルゲダスを出るのか、そのために何時に戻ってきたいか。
たぶんこの質問の目的は2つ。
1つめはルート案内のため。主なサイクリングコースは2パターンあり、有名な絶景スポットにたどり着いて引き返してくるなら約40キロ・4時間のライド。引き返さずにぐるっと一周するとしたら約53キロのライドで5~6時間とのこと。
もう1つは、自転車の返却予定時刻を把握するため。スペインあるあるとして、お昼休憩中はお店を閉めてしまうことがよくある。このお店だと午後1時~午後3時半は一旦閉店なので、その間に返したい場合はどうしたらいいか指示をくれる(私のケース。慣れていると言ってくれたけど申し訳なかった)。本当の閉店時間に間に合わなかった場合の対応なんかも話し合うのかな。
私たちは4時間後のバスで帰路につく手はずだったので、素直にそう伝えると「こいつ大丈夫か」という顔をされた。旅程上仕方なかったので、全ルートを味わうことはあきらめて、一番近い名所Castildetierra(カスティルデティエラ、冒頭の三角帽子みたいな岩)まで行って帰ってくることにした。見たい!と思ったきっかけの写真もここだったから、これでいいのだ。グーグルマップを今見たけど、ここまでが12キロくらいのようだ。
無風で気温もほどほどな絶好のサイクリング日和だったにもかかわらず、ここまでたどり着くのに約1時間かかってしまった。マウンテンバイクに不慣れだったのと、上り坂が大変だった。全体的にアップダウンを繰り返すのだが、ゆるやかじわじわ系上り坂と、ガッツリふんばれ系上り坂が往路の半分以上あった気がする。
帰りは下り坂の割合が増えたのと、夫のペース管理がすごい上手だったおかげで、ちょっと写真休憩をとりつつも45~50分。とはいえ、40キロコースに挑んでいたら、帰りのバスに乗れなかっただろう。
なので、旅程はなるべく余裕をもって組めたらいい。広大な景色を心行くまで楽しむのなら4時間のライドが最低限。疲れも出るし。お尻の休憩も要るし。
私たちは、体力や全体の旅程を加味して「あの三角帽子みたいな岩だけ見れたら満足!」と割り切れたが、一般的には40キロコースを完走するほうが満足度が高いだろう。あの奥にもっとすごい絶景が広がっているとのことだし、三角岩の写真映え力がすごすぎて、現地で「こんなもんかぁ」となる人もいるかもしれない。
ついでに、ライドが長くなればなるほどお尻が痛くなってくるので、お尻を保護する何かはあったほうがいい。何かは分からないけど。道のコンディションや自重は、時間が経つとスリップダメージとして蓄積されていく。
その他の注意点
途中から舗装されていない砂利道に切り替わるので、砂埃で口がジャリジャリになる。マスクか、うがい用の余分な水を持っていくとよい。結構な頻度で車に追い越されるが、砂埃を立てないよう徐行してくれるのは半分くらい。徐行してくれても、砂埃は舞うし。細かい砂利ばかりなので、パンクしそうな感じがしないのは良かった。
もし自転車についてのトラブルに見舞われたら、まず近くにいるサイクリストに相談するとよさそうだ。レンタサイクルの店主さんにもそう勧められたし、確かにそのくらいサイクリストが多かった。もちろん、それでだめなら電話してねという優しい対応なので、安心。観光案内所は電波が全然ダメだったけど、カスティルデティエラの近くは電波がちゃんとあった。
繰り返しになるが、素人だと本当にお尻にくるので、何かお尻の痛み対策があるといい。本当に。
あとはもう、広大な絶景の中を風になって走り回るのみ。爽快で楽しかった。楽しすぎてブログに載せられるようなちゃんとした写真が残っていないのが悔やまれる。
おまけ:当日の移動にかかった時間まとめ
当日の移動経路や所要時間等はこんな感じ。
★1:自転車屋さんでルートやトラブル時の説明を受け、昼食のサンドイッチを調達していたら1時間経っていた。サンドイッチは20分以上待ったと思うが、デカ盛りでおいしかったので結果オーライ。
★2:三角岩では写真を撮って、サンドイッチ(でかい)を食べた。40分は短い。
★3:予想より早く戻れたので、バルでお茶しつつバス待ち。自転車は返すだけなら一瞬なので、がっつり着替えるのでなければここまでの時間的余裕はいらないかも。
★4:バルセロナ行きの安い便を待つために、2時間ほどサラゴサを観光した。運賃は考えず、アルゲダス~バルセロナを最高効率で移動することだけに集中すれば、理論上は5時間以内で行けそうな気がする。