がんばるせろな(仮)

夫のバルセロナ留学についてきた30代。コロナ禍のスペインをじたばた生きてます

DELE C1 合格できました

 先月、DELE C1の結果が届いた。5月12,13日に受けた試験の結果が8月2日にメールで届いた(確か8月1日にはウェブサイトのマイページから見られるようになっていた)。まあ、もうこのスピード感には慣れた。

 この間に日本に戻ってきたり職を探したりと色々あったので記憶が薄れてきているけど、集大成として振り返りを。

 目次はこんな感じ。

  • 手ごたえと結果のすり合わせ
  • ポンペウファブラ大学の受検環境
  • 特に役立った学習手段3つ
  • 今後のスペイン語学習

左からざっくり読み・書き・聞き・話しの得点。やはり書きが低評価。

 Grupo1が読み・書き、Grupo2が聞き・話しの得点。各25点満点×4分野=100点満点だけど、合格にはGrupo1とGrupo2のそれぞれが6割以上=30点以上でないといけない。つまり、すっごいギリギリすべりこみだった。でも合格は合格。

結果と手ごたえのすり合わせ

リーディング

 6割=15点は予想通り。C1は語彙のレベルがぐっと上がり、難しい単語をまた別の難しい単語に置き換えた出題がされる。B2まではひとつの概念に対して簡単な言い方と難しめの言い方を1つずつ知っていれば何とかなったけど、C1はもっと引き出しを増やさないと歯が立たない。

 それと、文章量や問題の量が増えるので、自分の読む速さや考える速さを知っておかないと詰む

ライティング

 相変わらず低評価。B2でも得点が6割に乗らず、語学学校の先生に作文を何度も見てもらった。「この出来で6割未満ってことはないと思うんだけどなぁ」という反応ばかりだったのに、今回もやっぱり6割に届かず。たくさん訂正しながら書くのがいけないのか、語数制限をはみ出したのか、ミスがちりつもで山になったのか…心当たりはいろいろあれど、どれがクリティカルな理由なのかはわからないのがつらいところ。

 ただ、書いたものを評価してもらう機会はバルセロナ生活の中では圧倒的に少なかったので、アウトプットが悪いということ自体は不思議ではない。

リスニング

 思ったより取れていた。こちらも6割=15点くらいかなと思っていた。あてずっぽうの運も上乗せされている気がするので、これに関してはあまり振り返ることがない。

スピーキング

 これは会心の出来だった。かなり時間もお金もかけて本格的に対策したので。DELEの口頭試験の試験官資格を持っている先生にオンライン教室で集中対策してもらった。厳しいと評判の先生にしごいてもらったとはいえ、満点近い結果には驚き。

 

ポンペウファブラ大学(UPF)の受検環境

 こちらはDELE受検仲間から以前聞いた通り、音響がとてもよかった。トイレは微妙だし休憩時間を過ごすのに良い場所もないけど、クリアな音が聞けるのは大きい。

UPFの構内。広々としていて、新しめ。

 一方、口頭試験は待合室がなく、吹きさらしの渡り廊下での待機。この日は霰だか雹だかが激しく降った日で冷え込みが強く、他の受験生と震えながら待っていた。

吹きさらしの廊下と、雪のように積もった霰(雹?)

特に役立った学習手段3つ

参考書2点

 DELE受検と言えば!な二大参考書、Edelsaと時計の本(cronómetro)。Edelsaをメインにして、クロノメトロは時間感覚をつかむ+作文の課題が足りなくなった時にだけ使った。C1に限って言えばEdelsaは本番よりぬるめかも。当日「思ってた難しさとちがう…」ってなった。

オンラインスペイン語教室

 スパニッシュ・オンラインというところで、約1カ月、週1~2時間のペースでしごいて頂いた。何人もの先生にお世話になった中で、厳しいスピーキング指導に定評のあるメキシコ人の先生がとても私に合っていた。心が折れた日もあったけど、ダメ出しをはっきりしてくれる方が、期日も目標も決まっているDELEの世界ではありがたい

 授業料がお手頃なのでこの会社を選んだけど、この先生は評価が高いゆえに授業単価が高く、結果的に予算を超えて、DELEのスペインでの受検料よりちょっと多いくらいのお支払いをした。お値段以上の結果が出たので大満足ではある。単価が低い先生だと期待通りの授業をしてくれないこともあり、本気でやるならお金と時間をかけるべき瞬間もあると学んだ。今気づいたけど、MBA留学もそういう考えで決めたんだったなぁ。とっくにわかって実践していたことを別の形で実感しなおすなんて、変な感じ。

今後のスペイン語学習

 当初の目標を達成し、日本に戻ってきたので、DELEは一旦終わりかな。今回はDELEにすべてのピークを合わせて勉強したから最大瞬間風速としてC1の合格点に届いただけで、これから実力は落ちていくはず。

 とはいえ、一度はスペイン語でいろんなことができるようになったので、多分一定のラインより下には落ちないか、落ちてもある程度のところまで戻すのは比較的楽にできると思う。10年ぶりでも自転車をこげるような感じに維持できたらいいかな。

 とにかく、無事目標に届いてよかった。今回ばかりはがんばりました。

 帰国しましたが、下書きや構想中の記事が結構あるので、今後ものんびりと不定期投稿する予定です。

 

DELE C1をバルセロナ・ポンペウファブラ大学で受けた記録

 スペイン滞在の集大成として、2022年5月13日実施のDELE C1をバルセロナのポンペウファブラ大学で受けたのでその記録。今回は受検地選び~口頭試験までを記録する。筆記試験はあまり記憶がないので、結果報告と一緒に書く。

 2021年8月半ばから語学学校に通い始め、2022年5月にB1、2022年11月にB2を受け、どちらにも一発で合格できた。

 C1は結構難しいと聞いているので、本当に背伸びしたチャレンジ。日本に帰ったら高速でスペイン語が劣化しそうだから、瞬間最大風速をだせるとしたら今しかない!と思った次第。

 前置きが長くなったが、目次はこんな感じ。

  • ポンペウファブラ大学にした理由
  • 口頭試験(5月12日)の模様
  • 筆記試験(5月13日)の模様
  • 総括

この記事では、上2つ、つまり受検地選びと口頭試験について。

ポンペウファブラ大学にした理由

 昨年のB1はバルセロナ大学で受け、コロナ対策のため全開になった窓から、近くのイベントのBGMが爆音で流れてきて困った。スピーカーの質が悪かった教室もあったらしい。

 B2は普段行っている語学学校でトライしたが、見知った先生が試験官というのが逆に緊張につながってしまった。机が椅子のひじ掛けと一体化したタイプでやりづらかったのと、日差しが直撃する席だったので具合が悪くなった。

 つまり、どちらも受検地としてリピートしたいとは思わなかった。

 そこで、B1受検時のDELE対策講座で知り合った子が「ポンペウファブラ大学は音響がちゃんとしていた」と言っていたのを思い出し、受検場所を決めた。

口頭試験(5月12日)の模様

 受験票をみて、指定の準備室に直接向かう。ここで課題文を見て、言いたいことの下書きをする。準備の制限時間は20分。その後実際の試験室に移動して20分の口頭試験、という流れ。

 準備室は13号館の1階(日本で言う2階)にあった。教室をつなぐ廊下に屋根はあるが、壁や窓はない。つまりほぼ屋外。

 呼ばれた人だけが入室してもよいシステムで、待合用の椅子などはなし。明らかに私の前の枠の人が遅刻していたが、順番繰り上げはなかった。ひたすら待つ。この日は5月なのに冷え込みが激しく、待つのがしんどかった…。

吹きさらしの渡り廊下で待機。寒いなと思ったら、積もるほど霰が降った

 予定通りの時刻になり、受験票とパスポートを見せて、やっと準備室へ。鉛筆と下書き用紙を渡され、2種類の課題文から1つ選ぶ。じっくり見て選ぶ時間はないので、ぱっと見で分かる単語が多そう+タイトルの意味がちゃんと分かった「中小企業とデジタル化」的なテーマをを選んだ。事前の練習を通して、タイトルの意味が分からない時は本文の意味もだいたい分からんということだけは体感していた。

 私が予定通りの時刻に入室したとたん現れる、私の前の枠の人。その人の扱いをめぐって準備室内で「試験を受けさせていいか確認する」とか「試験室に誰も来ないけど遅刻?後ろの人(私)はどうしたの?」とかゴタついていた。静かに考えさせてほしかったが、受検者から目を離すわけにはいかないもんね…。どの会場でも完璧な進行は期待できないものだなぁ…とあきらめの境地で悟った。

 結局、遅刻した人は私の後に受検させてもらえたようだ。でも遅刻はしないほうがいい、焦るから。早くつきすぎるのも困りものだけど。

 そんなこんなで、言いたいことの下書きや脳内シミュレーションをあらかた終えたところでタイムアップ。課題文と鉛筆を返却し、試験室に向かった。ここでも、パスポートの確認があった。

 今回は待ち時間が長かった分、緊張が煽られた感があり、試験官とのアイスブレイクに注力する作戦にでた。「緊張してるよ~どうしよう~」と正直に伝えたところ、「私を友達だと思って話して」とフレンドリーな対応。私の試験は夕方だったので「一日中受検者の話きいて、疲れてない?」なんて質問をしてみたら「へへ、少しはね」という反応。ちょっとリラックスできた。

 そしてついに本番。目の前のホワイトボードに課題文が映し出され、印刷された課題文をもう一度手元に貰える。それを時折見つつ、自分の思った通りに話した。

 構成はきっちり考えられたとは思う。文法や語彙レベルは微妙だったかもしれない…。あとは、自分が何分話していたか、体感ではわからなかったのが怖い。

 次は、その課題文に基づいた質問に答える。「自分でオンラインショップを持つなら何が売りたい?」「起業するメリットって何だろうね?」「人のために働くことの意味って何だと思う?」などなど。考えたことがなかった質問で、結構考えさせられた。そしてかなりでっち上げた。

 最後は写真をみて面接官と話し合い。テーマは2つのうち1つを選ぶ形式で、選んだのは「人口減少中の田舎に人を呼び寄せるための施設を作るなら何?」みたいな感じ。写真が4枚あり、すべてを批評しながら合意を形成する感じ。練習では「まずありえないだろう」というトンデモ写真を推されたり、突飛な意見を出されたりもしたが、今回は概ねまっとうに議論ができたはず。

 これで全工程が修了。終わって時計を見ると準備室に呼ばれてちょうど40分弱くらい経っていた。しゃべりが短かったかなぁ…。でもまあ、C1対策を始めた当初よりはよくできたし、何より楽しくやり切った。晴れ晴れとした気分。

 そして、よし帰って明日の筆記に備えるぞ!と思ったとたん土砂降り+雷+霰。近くにいた人に電話貸してくれない?と言われて気づいたが、悪天候のせいで電波がダメになっていた。もう、どうにでもなれ。

バルセロナ大学で受検した時との違い

 バルセロナ大学での受検時も同じように、私の前の時間枠の人が遅刻していたが、順番を繰り上げて先に受検させてくれた。そして、その遅刻した人は、大したお咎めもなく受検できていた。ついでに、準備室で話したいことの下書きをした後、実際の試験部屋の前に待合場所があり、そこでほかの受験生と話したりできた。スマホ触ってる人もいたような。

 今回は遅れてきた人がいても順番繰り上げはなし。準備室から試験室に送り込まれるのも一人ずつなので、ポンペウファブラ大学のほうが厳格にやっている感じ。

半砂漠の絶景を求めて。「バルデナス・レアレス」に自家用車なしで行った記録

 Googleマップで遊んでいる最中に見かけて以来、スペインの火星と勝手に呼んでいる不毛地帯Las Bardenas Reales(ラス・バルデナス・レアレス)

グランドキャニオンとまではいかないが、日本ではお目にかかれない光景ではある

 アクセスマップを見ても自家用車向けの情報ばかりなのだけど、電車とバスを乗り継いででも辿り着けた。マウンテンバイクを借り、サイクリングも楽しめた。多少頑張ってでも行ってよかったなぁと思えている。

 というわけで、この経験がいつか誰かの役に立つかも?と思い、記録しておく。

 絶対に書き残したいことは2つ。経路検索はInterbus社のバスが便利で、自転車に乗るならお尻の保護を怠ってはいけない。以上です。

 これだけでは誰の役にも立たないと思ったので詳しく書きます。

 目次はこんな感じ。

  • バスのモデルルート提案
  • まずはInterbus社でルート検索を
  • マウンテンバイクレンタルの流れ
  • モデルコースは最低4時間。旅程と装備に注意
  • その他の注意点
  • おまけ:当日の移動にかかった時間まとめ

バスで行く場合のモデルルート提案

 いきなり結論から。バルデナス・レアレス最寄りの町はArguedas(アルゲダス)という。この町へは、Interbus社のバスでサラゴサパンプローナから行くのが、現実的かつ気楽だと思う。(Interbus社のウェブサイト:Web de transportes Interbus - Interbus)以下が、超簡略化したルート図。

まずトゥデラという町に行き、そこからローカルバス。(運賃は2023年4月14日現在)

 距離感がわかるよう、グーグルマップに印をつけるとこんな感じ(縦長画像です)。

 以下、このルートについて、経験談を交えつつ、順を追って補足していく。ここまででOKな方は、お尻に注意して出発してくだされば幸いだ。

まずはInterbus社でルート検索を。

 バルデナス・レアレス最寄りの町・アルゲダスに鉄道駅はなく、Interbus社のローカルバスが1路線通っている。最大1日6便と本数が少なく、接続の良い便はさらに少ないため、Googleマップの経路検索にうまく引っかからないことがある。そこで、このバスを直接探すことにした。

 このローカルバスはInterbus社のL354という路線で、すぐ近くのTudela(トゥデラ)という町から出る。そのトゥデラには、鉄道と、Interbus社のパンプローナサラゴサ路線が止まる。知っている都市名が出てきた~!やったー!

 というわけで、バスの場合、Interbus社のサイトからサラゴサ~アルゲダス、またはパンプローナ~アルゲダスのバスを探してみるとよい。接続の良い便が見つかればラッキー。見つからない場合は、トゥデラまでのバスとトゥデラからのバスを分けて探すと良い本数が少なくて、こちらがバスに都合を合わせないと出てこないだけなので。自然を求めていく旅って、そんなもんだよなあ。

 私たちはサラゴサからのバスに乗り、1時間ちょっとで着いた。夜遅くの到着だったので、トゥデラのホテルに前泊した。ロビーにはバルデナス・レアレスのポスターや観光情報がたくさん張り出されていて、砂漠訪問の拠点になっているようだった。発着地がどこなのかはわからなかったけど、セグウェイや四駆での現地ツアーなんかも案内があった。今回は、ちょっとやる気があったのでサイクリングを選択した。

マウンテンバイクレンタルの流れ

 翌朝、朝9時半のバスでアルゲダスへ。10時前には到着した。

トゥデラで待機中のローカルバスと、アルゲダスのバス停で撮った写真

 バス停を降りた瞬間は、ひびが入った幹線道路の両脇に工場やら倉庫やらが並んでいる殺風景さにちょっとびっくりした。でも、一本入ればキレイでかわいい町だ。

 ここからバルデナス・レアレスまでは、レンタルマウンテンバイクで向かった。お世話になったのは、夫が探してくれていたCiclos Marton(シクロス・マルトン)というお店。

お店の外観と、借りた自転車。いい自転車だった。水は大量に必要だった。

 自転車+ヘルメット+緊急修理用具一式を貸してくれる。借りている間は、パスポートを預ける。電話で事前に予約をしておいた。①名前②何日の何時に着くか③マウンテンバイクの種別④だいたいの身長(または自転車の高さ)、の4つを聞かれた(やりとりはスペイン語で頑張った!)。

 マウンテンバイクの種別というのは、電動かどうか。人力なら1日20ユーロ、電動なら1日50ユーロ。電動は「バッテリーは4~5時間くらい持つけど、風や体重にもよる」とのこと。充電が切れたら重く感じるかもと勝手にビビり、人力にした。

 頼んだら店内で着替えさせてくれて、小さな荷物も置いて行かせてくれた。なので、サイクリング用の服がなくても、多少は動きやすい服、そしてお尻を守る何かを装備するとよい。私たち以外のサイクリストは大体弱虫ペダルみたいな恰好をしていた。

モデルコースは4時間~。旅程と装備には注意

 店主さんは、地図を書きながらルートの説明をしてくれた。ここでもう1つ聞かれたことがある。それは、帰りの時間。何時にアルゲダスを出るのか、そのために何時に戻ってきたいか。

 たぶんこの質問の目的は2つ。

 1つめはルート案内のため。主なサイクリングコースは2パターンあり、有名な絶景スポットにたどり着いて引き返してくるなら約40キロ・4時間のライド。引き返さずにぐるっと一周するとしたら約53キロのライドで5~6時間とのこと。

 もう1つは、自転車の返却予定時刻を把握するため。スペインあるあるとして、お昼休憩中はお店を閉めてしまうことがよくある。このお店だと午後1時~午後3時半は一旦閉店なので、その間に返したい場合はどうしたらいいか指示をくれる(私のケース。慣れていると言ってくれたけど申し訳なかった)。本当の閉店時間に間に合わなかった場合の対応なんかも話し合うのかな。

 私たちは4時間後のバスで帰路につく手はずだったので、素直にそう伝えると「こいつ大丈夫か」という顔をされた。旅程上仕方なかったので、全ルートを味わうことはあきらめて、一番近い名所Castildetierra(カスティルデティエラ、冒頭の三角帽子みたいな岩)まで行って帰ってくることにした。見たい!と思ったきっかけの写真もここだったから、これでいいのだ。グーグルマップを今見たけど、ここまでが12キロくらいのようだ。

 無風で気温もほどほどな絶好のサイクリング日和だったにもかかわらず、ここまでたどり着くのに約1時間かかってしまった。マウンテンバイクに不慣れだったのと、上り坂が大変だった。全体的にアップダウンを繰り返すのだが、ゆるやかじわじわ系上り坂と、ガッツリふんばれ系上り坂が往路の半分以上あった気がする。

 帰りは下り坂の割合が増えたのと、夫のペース管理がすごい上手だったおかげで、ちょっと写真休憩をとりつつも45~50分。とはいえ、40キロコースに挑んでいたら、帰りのバスに乗れなかっただろう。

 なので、旅程はなるべく余裕をもって組めたらいい。広大な景色を心行くまで楽しむのなら4時間のライドが最低限。疲れも出るし。お尻の休憩も要るし。

 私たちは、体力や全体の旅程を加味して「あの三角帽子みたいな岩だけ見れたら満足!」と割り切れたが、一般的には40キロコースを完走するほうが満足度が高いだろう。あの奥にもっとすごい絶景が広がっているとのことだし、三角岩の写真映え力がすごすぎて、現地で「こんなもんかぁ」となる人もいるかもしれない。

 ついでに、ライドが長くなればなるほどお尻が痛くなってくるので、お尻を保護する何かはあったほうがいい。何かは分からないけど。道のコンディションや自重は、時間が経つとスリップダメージとして蓄積されていく。

その他の注意点

 途中から舗装されていない砂利道に切り替わるので、砂埃で口がジャリジャリになる。マスクか、うがい用の余分な水を持っていくとよい。結構な頻度で車に追い越されるが、砂埃を立てないよう徐行してくれるのは半分くらい。徐行してくれても、砂埃は舞うし。細かい砂利ばかりなので、パンクしそうな感じがしないのは良かった。

 もし自転車についてのトラブルに見舞われたら、まず近くにいるサイクリストに相談するとよさそうだ。レンタサイクルの店主さんにもそう勧められたし、確かにそのくらいサイクリストが多かった。もちろん、それでだめなら電話してねという優しい対応なので、安心。観光案内所は電波が全然ダメだったけど、カスティルデティエラの近くは電波がちゃんとあった。

 繰り返しになるが、素人だと本当にお尻にくるので、何かお尻の痛み対策があるといい。本当に。

 あとはもう、広大な絶景の中を風になって走り回るのみ。爽快で楽しかった。楽しすぎてブログに載せられるようなちゃんとした写真が残っていないのが悔やまれる。

おまけ:当日の移動にかかった時間まとめ

 当日の移動経路や所要時間等はこんな感じ。

バスと電車は時刻表ベース。赤線は移動以外の時間なので下で補足する

★1自転車屋さんでルートやトラブル時の説明を受け、昼食のサンドイッチを調達していたら1時間経っていた。サンドイッチは20分以上待ったと思うが、デカ盛りでおいしかったので結果オーライ。

★2:三角岩では写真を撮って、サンドイッチ(でかい)を食べた。40分は短い。

★3:予想より早く戻れたので、バルでお茶しつつバス待ち。自転車は返すだけなら一瞬なので、がっつり着替えるのでなければここまでの時間的余裕はいらないかも。

★4バルセロナ行きの安い便を待つために、2時間ほどサラゴサを観光した。運賃は考えず、アルゲダス~バルセロナを最高効率で移動することだけに集中すれば、理論上は5時間以内で行けそうな気がする。

DELE B2に合格いたしまして。

 DELE B2の合格通知が来たので振り返っておこうと思う。

11月にバルセロナでDELEのB2(中上級)を受けた。受験日は11月18日(口頭試験)、19日(筆記試験)で、合格通知は2月1日にメールで届いた。結果がわかるまで約75日なので、前回B1を受けた時より2週間ほど早く結果が来ている。

 前回と同じように振り返りをしておきたい。当日から風邪をひいて1カ月ほどこじらせたせいでB1の時ほど鮮明な記憶がないけど…目次はこんな感じ。

  • 今回は語学学校で受検
  • 得点と手ごたえのすり合わせ
  • まとめと今後の方針

語学学校で受検するということ

 実は、今回は普段スペイン語を教わっている語学学校を会場に選んだ。理由はいくつかあるが、ざっくり言うと

①B1受検時にバルセロナ大学を選んだ結果、大人数過ぎて(40人くらい?)入室時のIDチェック等の進行がもたついてイライラしたので、会場の大きさが想定できるところにしてみた

②普段から外国人学習者を相手にしている先生の採点の方が話しやすいかもと思った

 という感じ。

 語学学校で受検する場合、試験官は普段顔を合わせて授業をしてくれている、「知っている先生」になる。口頭試験も、筆記試験も。なので、下駄をはかせてくれるとは思わないけど、多少アイスブレイクが楽になったりするかなと思っていた。そう、思っていた。

手ごたえと結果のすり合わせ

 これはもう試験結果を載せた方が早い。ドン。

思ったより良かったけど、手ごたえ通りというわけでもない不思議

 B2の合格基準は、Grupo1(読解+作文)で50点満点中30点以上、かつ、Grupo2(リスニング+会話)で50点満点中30点以上であること。

まず日程的に先だった口頭試験から。

 正直言って「勝手知ったる場所でやる」ありがたみは享受できなかった。普段好きに歩き回っている学校内で、「試験官の指示があるまでここから動かないように」と言われるだけでもう怖い。私の知ってる学校ジャナイ。そして普段ニコニコ優しい先生方も今日ばかりはまなざし鋭く、(採点の)プロの顔。このギャップが怖い。

 これは私の性格の問題で、普段リラックスして話せる相手が急に真面目モードで向かってくるとビビる。そして自分も同じくらい背筋を伸ばさなければ!と思い…多くの場合、自滅する。

 一応練習通りに話せはしたし会話も成り立ったけど、後から思うと接続法過去を一切使わなかった気がする。試験直前に見返す「気を付けることリスト」にでかでかと書いてあったのに。そのくらい雰囲気にのまれてしまった。まあ、それでも19点にはなった。試験官をしてくれた先生からも「ガチガチだったけど良くできていたよ」と言ってもらえている。

 この点数には、たぶん先生方の温情は入っていない、と思う。口頭試験って私の話したことを(言い方も悪いことも)評価しつつ記録をとる用の試験官がいて、それは当面保管されるし異議申し立てがあれば第三者が評価しなおす仕組みになっているから、温情にも限界があるはず。なおかつ、会話を回す方の試験官が抱いた全体的な印象とのすり合わせもあるので、極端なことはできない。

 勝手知ったる場所での受検は、私とは反対に「普段とは違うできる自分を見せてやるぜ」と思える人にはとても良いだろう。

次に読解とリスニング。

 受検者が6人だったので教室からの出入りや人数確認がサッサと終わるのがありがたかった。これは狙い通り。

 読解は長文の中の欠けた段落を補う問題がとても苦手で、6問中2問合えば御の字という感じ。しかも、最初に斜め読みしているときに仮置きしてみた選択肢の方が、じっくり読みながら選んだ時より正解率が高い、なんてことも結構ある。一方で、前後をちょっと読めば1分で解ける語彙やコロケーションといった文法穴埋め問題も1問の重みが同じなので、もうこの段落補充はほぼ捨てて、他の設問を何度も見直すことにした。そして、それでも余った時間はリスニング問題の先読みに全振り。

 正直リスニング問題はどれだけ先読みしようが、いざ音声が流れだすとアワアワして読んだ内容を忘れてしまうので、意味があったのかどうか、評価が難しい。選択肢から設問を予想しても、「この話題が出るはず」と構えていても、聞いてみたら全くあてが外れたということもあるし。30問中「自信をもって正解を選んだと言える」と思えたのって10問くらいだったんだけどな。

 なので、読解とリスニングが思った以上にいい点数で「あれ?まじで?え?」って思ったというのが本当のところ。とくにリスニングはB1時は一番点数が出なかったので、この得点は奇跡というか、運に救われた感がある。両方20点台なんて期待をちらりとも持っていなくて、結果を見た時は叫んだ。

そして、問題なのが作文。

 6割取れていない、これはあまりにも残念。当日のお題は別に難しくはなかったはず。「B2に求める水準に届いている」のではれば理論上6割=15点には乗ると思っているので、私の作文はB2の平均にギリギリ届かないレベルということか。これに関しては改めて作文を先生方に見てもらって、何がどういけないのか探らないといけない。

 シンプルに、これまでにかけた時間の差が如実に出ている、という見方はできる。スペイン語が日々耳や目に入ってくる状況で暮らしていて、授業でちょっと意見を述べてみたりはする。でもそれは会話の一環でしかなくて、グループ授業なので、自説を1から10まで展開することはない。それを文章にすることも、もちろんない。なのでどこで集中力が切れているとか、どこでミスしているとか、この書き方だと伝わらないとか、そういうことは実はほぼ知らない。

 実は今回のDELE受検にあたってオンラインのスペイン語教室でDELE対策をお願いし、辛口の先生を指名して何度か作文を見てもらったのだが、「このままじゃだめですよ」みたいなフィードバックはなかった(口頭試験の練習では言われた)。その話はまたいつか。

まとめと今後の方針

 実は5月のDELE C1受検に申し込んである。スペインを離れる直前の集大成として挑んでみることにした。クラスメイトにC1を持っている子がいて、その子が「今から頑張ったら可能性あるんじゃない?!」と後押ししてくれたのも大きい。

 正直「さすがに調子に乗りすぎかな?」という気もするけど、前回も今回も、手ごたえと結果の出方のずれがすごいので、あえて自分のフィルターを無視し、信じられる友人の助言に乗ってみた形だ。

 

 ところで、自分の実力の1個上のレベルを受けてうまくいかないというパターンはDELEあるあるらしい。DELEは試験結果を2~3カ月ソワソワと待たないといけなくて、受検料も高い。だからどうせ受けるなら、ギリギリ受かるラインの一発合格を狙いたい。そうすると尻に火が付き、もっと頑張れるはず。こういう発想はとてもわかる。私もどちらかというとこっち側の人間だ。

 ただ、2回DELEを受けてみて、そういう受け方はDELEには確かに不向きかもしれないなぁと思う。読む・書く・聞く・話すのうちどれかができればいいなら一点突破も夢じゃないけれど、DELEは全部がそこそこできないといけない。すると、問題の形式や傾向に合わせて労力の配分を変える、いわゆる「試験をハックする」みたいな作業が多少は必要になる。このプロセスって、試験をきっかけに自分の得意不得意を切り分けて客観視したりするのには役立つけど、素の実力より上のレベルでそれをやると、分析材料が少なすぎて「結局がむしゃらに頑張るしかないよね!」みたいな結論に近づいてしまうと思う。そうすると、あてもなくひたすら頑張る辛さが伴ってくる。

 ただ、5月に向けて自分はこれをやるわけなんですが…。がんばるせろな、なんて名前をブログに付けてしまった以上、真面目に頑張らないといけないときもあるのだと自分に言い聞かせています。

 

 ここ数か月、スマホ以外のネット環境がないのにかまけてずいぶんブログを放置しておりました。近況としては、住まいが変わったので戦った話的なネタが少し減って快適であるとか、スペイン語で最新のポケモンを遊ぶと日本語で遊ぶのの10倍くらい時間がかかるけど楽しいだとか。ポケモンSVは本当に勉強になっているのでそのうち何か書きます。DELEの採点基準や試験官としての見方なんかも聞く機会があったのでたぶん書きます。

DELE B1の合格証明書をもらってきた話

 いつまで昨春のDELEの話をしているの?という感じなんだけど、また動きがあった。この1月になって「合格証明書が出来上がったから受験会場まで取りに来てね」とのお達しがあった。

 合格通知は試験の3か月後にすでにメールで来ているんだけど、それは自分の得点と合否を一緒に書いた、成績票的なもの。今回の合格証明書は、「この人は2022年5月のDELE B1に合格したことを証明しますよ」って書いてある、要は表彰状みたいなもの。

 で、これが手元に届くまで最長1年かかるみたい。国内なら10ユーロで郵送してもらえるようだけど、国外の場合だとどうなるかわかならい。つまり、自分がスペインにいる間に受け取れる合格証書はB1のものだけかもしれない…と思い、もらいに行ってきた。バルセロナ大学の一角で、身分証を見せればすぐに受け取れた。

塗りつぶしが汚いのでそのうち差し替えるかもしれない。2022年11月付なのが味わい深い

 こんな感じで、オシャレなお金のかかっていそうな厚紙(なんていうのかわからない)にいろんな難しいことが書いてあり、明るい所でよく見るとオレンジ色のインクでセルバンテス協会のロゴがうっすら浮かぶ。f:id:kananuk:20230217035912j:image

 合格したことの証明にいちいち点数をさらすのが嫌だなぁ…というときにいいのかもしれない。あと単純に表彰状的なものってなかなかもらわないし、ペーパーレス化が進んでいるスペインでは殊更そうだろうから、ちょっとうれしい。それなりに検定料を払っているので元を取ってやったような気もする。

 ちなみに、B1の半年後に受けたB2の結果がメールで届いたのは、この合格証書をもらった数日後の話。世界中の人がうける試験だからしょうがないとはいえ、やっぱり待ちが長い試験だなぁと思う。

 

「いいよいいよ」は良いのか悪いのか

 スペイン語No hace falta... (ノー・アセ・ファルタ)という表現がある。「~は必要ない、足りている」という意味だが、それだけの意味ではない。

 かなり前、スペイン人の友達に「今度遠出するから何かお土産買ってくるよ。希望はある?」とテキストメッセージで聞いたときのこと。"No hace falta!"と返事が返ってきた。初めてみる表現だったので辞書を引くと「不要だ」という意味だった。こちらの人は自分の意見をストレートに言うものだと思っていたこともあり「そっか、いらないのか…」とションボリしつつ引き下がった。

 それから数か月たち、今度は別のスペイン人の友人と話していて、"no hace falta"という表現の話題が出た。日本語が超堪能な彼によると、「遠回しに『ありがとう』って言っている場合もあるんだよ。日本チックな言い方でしょう」とのこと。

 サプライズプレゼントをもらったときなどに言うそうで、この場合のニュアンスは「(私のためなんかにお金や時間や労力をかけなくても)いいのに!」みたいな感じだろうか。超衝撃。本音と建前、スペインにもあるんじゃないの!

 私のケースは「そんなお気遣いいらないよ(でもありがとね)」と言っていた可能性があるのか。かなり恥ずかしい思い違いをしてしまったかもしれないのか!うああ。

 

 たしかに怪しいとは思っていた。スペイン語の恩師たちにちょっとしたお土産を渡した時にも¡No hace falta!的なことを言われたが、本気で断るそぶりもなく即包みを開けにかかっていたから。そして次の瞬間「気に入ったありがとう!」って中身見る前に食い気味に言っていたから。そうか、これは礼儀だったんだ。正直すまんかった。

 

 更に別の知人にも聞いてみた。やはり「いらん(いらん)」と「いいのに~(でもありがとう~)」の2パターンがあり得て、その人との関係や声のトーン、表情で判断するそうだ。テキストメッセージのやり取りだったら絵文字で判別するとのこと。ちなみに私のケースでは絵文字がついていなかったので、不運な事故だったと思いたい。

 このニュアンスをほかの言語に訳すのは難しいそうで、おそらくスペイン語的な表現なのだろう。こういう「ほかの言語にしがたい」とネイティブが言う表現は大事にしたい。

 というわけで「いらん」「いいのに」の両方になりえるような仮訳として「いいよいいよ」的な表現だと理解することにした。そして必ず表情で判断しなければと心に刻んだ。

2023/4/15追記:

 プレゼントをもらう前は現在形のNo hace falta.で「いいよ、いらないよ!(でもありがとう!)」と表現するのだけど、すでに目の前にプレゼントを差し出されている場合など「いらんのに」と言ってももう遅いような場合には線過去形でNo hacía falta.を使うようだ。

 たとえば、ポケモン最新作SVの開始数分でこんなシーンがある。主人公が転入する学園の校長が、なんとわざわざ自宅を訪ねてくる。その時のママのセリフ。

 no hacía falta que se molestaseと言っている。se molestaseはmolestarseの接続法過去形。この表情からすると、「お骨折りいただかなくてもよかったのに」「わざわざすみません」といった感じになるのかな?この状況だと、もう来てしまっている人に現在形で「来なくていいんですよ」というよりは、過去形「来なくてよかったんですよ」の方がしっくりくる気はする。

 それから、善意に対して何回No hace faltaを言うかは人によるという話も聞いた。難易度が高すぎるけど、その分うまく使えたらかっこよさそう。

 この後のポケモンSVのストーリーでも嫌というほど色んなhace faltaが使われるので、すごく大事な表現なのだということを身につまされた。(ここまで追記)

 

 と、これを書き終えかけたタイミングで友人から「小旅行から帰ってきたから今度お土産渡すね」と連絡が。その旨夫に伝えると「え、受け取れないよ」との返事。じゃあ断るの?と聞いたら「いやありがたく頂くけど…」と曰う。君もノー・アセ・ファルタ族か。状況がピッタリすぎて笑うしかない。

 次からどんどん使って、この経験の元をとりたい。

ナダルのコメント(の西訳)から学ぶ、悲痛な願いの言葉

 前の記事でフェデラー引退を伝えるスペインメディアの記事をチラ見した時、ナダルのコメントも探した。TwitterInstagramでは英文のコメントが出ていて、スペイン語はないみたい。なのでメディアごとに違う訳が載っている。

 スペイン人のナダルが英文で出したコメントをスペインメディアが西訳したものを私が日本語で見る…これはかなり迷子っぽい。が、学びもあったのでメモがてら。普段のテイストから離れ、マニアック気味な話です。

 

 まず原文(英語)がこれ。

Dear Roger, my friend and rival.
I wish this day would have never come… it’s a sad day for me personally and for sports people around the world. I said it to you when we spoke and now it’s here.
It’s been a pleasure but also an honor and privilege to share all these years with you, living so many amazing moments on and off the court.
We will have many more moments to share together in the future, there are still lots of things to do together, we know that.
For now, I truly wish you all the happiness with your wife, Mirka, your kids, your family and enjoy what’s ahead of you. I’ll see you in London at the @lavercup

https://www.instagram.com/p/CiiInmVoLGi/

 そして、20minutosの記事がこれ。地の文を間にいれつつほぼ全文を紹介している。太字の部分が西訳。

"Querido Roger, mi amigo y rival. Ojalá este momento nunca hubiera llegado. Es un día triste para mí y para el mundo del deporte en todo el mundo", arrancó Nadal en su 'carta' antes de repasar su recorrido como rivales. "Ha sido un placer, pero también un honor y un privilegio compartir todos estos años contigo, viviendo momentos increíbles dentro y fuera de la pista", termina en una primera parte del mensaje.

A continuación se extiende en un segundo tweet en el que le desea un gran futuro, también junto a él, al tenista suizo: "Tendremos muchos más momentos juntos en el futuro, hay muchas cosas que hacer juntos, nosotros lo sabemos", escribió, dejando caer la cercanía de próximos proyectos juntos. "Ahora sinceramente te deseo toda la felicidad con tu esposa Mirka, tus hijos, tu familia y disfruta este nuevo momento. Te veo en Londres (en la Laver Cup)", sentenció el español.

El emotivo adiós de Rafa Nadal a su rival y amigo Roger Federer: "Ojalá nunca hubiera llegado este día"

 ここで注目したのは色付きのOjalá este momento nunca hubiera llegado.この日が来なければよかったのに、この日が来てほしくなかったのに(今となってはどうにもできない)…という意味。

 Ojaláというのは願い事をするときの「~したらいいのに、~しますように」、もしくはかなわなかった願いについて「~だったらよかったのに」的な表現だ。

 ちなみに、Ojaláは「オハラー」と発音するが、これはアラビア語の「インシャッラー(神の思し召しがあれば)」という表現が起源らしい。スペインはイスラム世界の影響下にあった時代があり、その当時の方言がもとになっているとか。(インシャ・アッラー - Wikipedia)。スペイン語では本人の信仰と関係なく使う。この話が出た時、たまたまアラビア語話者がクラスにいたので元になったとされる言葉を読み上げてもらった。確かにほんのりにていた。

 そういう表現だと知っていて理解もしているのだけど、自分の切実な感情としてスッと言える感じではなかった。

  というのも、「~だったらよかったのに!」というのは超ドラマチックな感じがして私は日本語でもあまり言わないから。もう手が届かないとわかっている過去に変化を求めてしまうほどのやるせなさやじれったさを、幸いにもあまり経験したことがない。

 でも今回は想像できる状況と表現がドンピシャな感じがして(ドラマチックに解釈しすぎな気はしているけど)、ものすごく納得して読めたし、今後はすぐ言えそうな気がする。ヘレン・ケラーのwaterみたいな感じだろうか。真に迫った体験でブレイクスルーできることもあるのかもしれない。

 せっかくなのでもう1社見てみた。El mundoの記事は前半を引用していた。

Querido Roger, mi amigo y rival. Desearía que este día nunca hubiese llegado. Es triste para mí y para el deporte . Ha sido un placer, un honor y un privilegio el compartir todos estos años contigo, vivir tantos momentos extraordinarios dentro y fuera del campo

La carta de Rafa Nadal a Roger Federer tras su retirada: "Desearía que este día nunca hubiese llegado" | Tenis

 この日が来なければよかったのに、の部分がDesearía...と表現されている。この構文(というかこの時制)は使ったことがなかったので勉強になった。ニュアンスに違いが出るのかネイティブに聞いてみたが、同じ意味だそうなのでこれも時々使ってみようと思う。

 ほかにも言い回しや言葉選びが少しずつ違うのが面白い。

 

 ちなみに私は「〜だったらよかったのに!」はほとんど言わないけど、「〜しておけばよかった!」はめちゃくちゃ言う。これは似ているようで全然違う言い方になる、と思う。