がんばるせろな(仮)

夫のバルセロナ留学についてきた30代。コロナ禍のスペインをじたばた生きてます

会話を始める•止めない4つの小技

 実は語学学校の初日はほとんど誰とも話すタイミングがなくて、帰り道で「語学学校 友達 できない」なんて検索していたクチだ。当然のごとく「待ってないで自分から動こう」という正論すぎるアドバイスがでてきて、それができたら苦労しないよ~、なんてため息をついたりもした。

 幸いクラスメイトに恵まれ、友達…かはわからないけど、雑談やグループチャットをする程度の関係を保てているので、彼らから学んだことをメモしておく。自分から動かないといけないという部分は変わらないけれど、そのハードルを少し下げるコツみたいなものはあると思った。

  • 初対面なら、名前を聞く
  • How are you? ¿Qué tal?でもいいから、挨拶の後に何か言う
  • 相手にかかわる話をする
  • ゆっくりなら話せるよ、とアピールしておく

まずは名前を聞く 

 授業で一通り自己紹介をした後でも大丈夫。日本人同士でも名前の漢字を聞くこともあるわけで、相手が海外の人ならスペルがわからなかったり、発音が難しい気がしたりするのは当たり前だ。

 「ごめん、もう一度名前を聞いてもいい?綴りと発音はこれであってる?どこから来たんだっけ」と、何度も聞かれたし、私も真似して同じように聞いた。

 「覚えてねぇのかよ」と悪くとる人よりも「ちゃんと覚えてくれるんだ!」と快く応じてくれる人のほうが多い気がする。

 私のKanaというシンプルな名前でさえ「カニャ」「ハナ」「ハワイアンコーヒーのコナでしょ」と、いろいろ混乱されている。「Hannahの最初のHをKにする感じ」と言うとそこそこ通じる。「HannahやKonaでもいいよ」といっても、こだわろうとしてくれる人もいてほっこりする。

 この会話が1回しか使えないのが残念。翌日からは…

How are you?の類を駆使する

 挨拶の後は、とにかく話を振りやすい。How are you?でもいいから、「おはよう」のあとに何か聞く。ネイティブにはなんてことのない定型会話だと言われているけど、結構助かる。

 相手に話したいトピックがあれば話してくれるし、「昨日頭痛いって言ってたけど、もうよくなった?」とか、いつも一番に教室に来る子には「なんでそんなに早いの?」とか。毎日顔を合わせていることが追い風になる。

相手にかかわる話をしてみる

 話のきっかけがつかめたら、相手に話を振る。答えるより聞く方が簡単だから。答える立場になる前に、相手に答えてもらう。先手必勝。

 相手の国のことを聞こうかな、でも偏見やステレオタイプだと思われたらいやだな…とぐるぐる悩んでいた私に対して、クラスメイトの会話は拍子抜けするほどシンプル。

 「そのショールは自分で編んだの?触ってもいい?どのくらい時間がかかったの?」とか「分厚いマスク暑くない?」とか「扇子で仰ぐのって涼しい?」とか。すごくハードルが低い。なのに、思いがけずそこから話が広がることもあって、コミュ力のない私は驚いてばかりいる。

 思い浮かばなかったら、授業中の発言や態度がヒントになる。「スペイン語上手だよね!さっきあてられたときすごかった!」とか「エアコンきつい?」とか。「毎朝来るの早いね」でもいい。

ゆっくりなら話せる、と伝えておく

 せっかく会話がつながりかけたのに、自分のターンでつっかえてしまうことがよくある。気まずい、恥ずかしい、笑ってごまかしたい…。と思ったら、一度流れを切ってもいいから「話すのが遅くてごめんね」と伝える。今までこれであからさまに愛想をつかされたことはない。

 「話したいことはたくさんあるよ!ただ英語がついてこないんだよ!」みたいなニュアンスが伝われば最高だ。語学学校に来ている人は多かれ少なかれ、外国語で話すもどかしさを知っている。「大丈夫だよ、ゆっくり考えて」といってもらえたり、「こう言いたいんじゃない?!」とクイズ大会が始まったり、あらゆる種類の助け船を出してもらえる。次につっかえたときも、多少楽な気持ちで考えられる。

 話したい気持ちがあることをはっきり伝えるだけで、状況がガラリと変わる。

 

大事なのは、「話したい気持ち」「相手への関心」を態度で示すこと。

 それが伝わっていたら、言葉に詰まった瞬間に自分のターンが終わることは少なくなる。もちろん、毎回話せない言い訳をしているだけだとすぐバレるから、努力は必要。

 とはいえ、これで友達になれるか?というと…。どこからを友達と呼ぶかによる。

 私は「知り合い」から「友達」と思うまでがとても長くて、友達と親友はだいたい同じ。なので、浮かない程度に話すという心がけは、友達になるきっかけ程度に思っている。

 そして、もうひとつ大事なことを認識しておかなければいけない。

大人になってから、一生モノの友達を作るのは難しい

 日本人同士でさえ、定期的なお付き合いがある友達になれて、さらに長期間友達でいられるのはほんの一握り。みんなそれぞれ、自分の人生で忙しい。限りある余暇を何に捧げるかにも性格が出る。そこが合わないと、長期の付き合いは続かない。

 高校生の頃にごく短期間、アメリカに交換留学&ホームステイをしたことがある。何人も現地の友達ができたけれど、大人になった今も頻繁に連絡を取っているのは1人。その子とは、留学中から1番の友達だったかと言われると、わからない。よく遊ぶグループのひとりだったから連絡先は知っていたけど、何年も後になってから趣味が同じ編み物だということがわかって、気が付いたらのんびりとLINEが続いていた。

 何がきっかけで、知り合いが友達に変わるかはわからない。それがいつ起きるかもわからない。だから、過大な期待をするとつらいかもしれない。でも、話しかけなければ可能性はゼロ。

 

 語学学校なら、同じメンバーと毎日会うし、しかも初心者クラスでは自己紹介や趣味の説明など、自分の話が題材になることも多い。必然的に、クラスメイトの人となりを断片的に知る機会が多く、探せば話題はたくさんあるはず。

 それに、みんなそれぞれのタイミングで学校を去って新しいことに挑戦していく。極論だけど、失敗しても大丈夫な後腐れのない相手とも言える。

 

 今回は人づきあいの上手な子、さりげなく気配りのできる子がいたから浮かずに済んでいる。でも、クラスや学校を移ることがあったら、今度は自分で人間関係を作ることになる。その時に、こんな理想論をぶちまけた自分を恨まないといいんだけど。

 

 ちなみに、初日に全然誰とも話が弾まなかったのは、スペイン語オンリーの授業に疲れきっていてそれどころじゃない人が多かったからみたい。