がんばるせろな(仮)

夫のバルセロナ留学についてきた30代。コロナ禍のスペインをじたばた生きてます

一時帰国の話①日本で食べてうれしかったもの

 この夏休みは日本で過ごした。10カ月くらいぶりの日本は、蒸し暑いけど新しい発見もあり、例年より充実した時間になった気がする。なので、しばらくぶりに暮らしてみて思ったことも書いておこうかなと思う。

 数か月の滞在を1記事にするのは難しいので、何回かに分ける。今回は日本で食べてうれしいもの。※スペインに持っていきたい食べ物とは別です。

 先に宣言しておくと、私はおそらくバカ舌の部類だと思う。和食ロスにもなったことがないし、「好きな食べ物は?何が食べたい?」と聞かれたら「玉ねぎ!」なんて素材で答えてしまうほど。「安い」という理由だけで大抵の料理は許せる。なのでこの記事には大したものは出てこない。あくまで普段食べているものをありがたがる人もいますよ、という感じの記録だ。

 よし、予防線はこのくらいにして。

ラーメン

 入国して真っ先に食べたのはラーメン。安いし、「これだ!」という味がする。たくさんのお店がしのぎを削っているので選択肢が多く「今度はここに行ってみよっか」という感じになりやすい。滞在中、外食として一番食べたのはラーメンだと思う。日本では待機中はマスク+黙食という要請が強いように思ったので、回転が速く滞在時間が短いラーメン屋は、コロナ禍においては割と良いチョイスだったと思う。

 バルセロナのラーメン屋は、予約しないと入れないほど繁盛している。だけど、日本と比べると高い。例えば、先日友人と行ったラーメン屋は1杯12.5ユーロ。これを書いている2022年9月8日現在1ユーロ=143円なので、1杯1800円くらいという計算。水はただでは出ないから飲み物も頼む。すると2000円ではきかない。別に極端なケースを挙げているわけではなく、「こんなものだよね」という感じだ。

 ちなみに、豚骨ラーメン命の夫に言わせると「もうちょっとパンチがあってもいいかな」という感じのお店が多いらしい。外国人経営の極端なお店だと、味噌ラーメンと称してみそ汁に麺を入れた感じのものが出てきたこともあるとか。

天ぷら

 サクサクの衣とかつゆの味とか、何にも代えがたいものはあるんだなと悟った。

 フリットとか揚げ物はスペインにももちろんあり、とてもおいしい。けど、「フライド〇〇」といったらそれしかない。一皿まるまる揚げた白身魚、一皿ぜーんぶフライドポテト。盛り合わせを頼んでも4種類乗っていればかなり嬉しい感じ。付け合わせのキャベツとかレタスとかはなかったか、少なくとも全く覚えがない。つまり、全体的にかなり茶色い。

 それにくらべて、かご盛のてんぷら盛り合わせの「各種少しずつ食べ比べてみてね」というおもてなしの心ときたら。野菜がたくさんというのも良い。色どりもよく、見た目から楽しくなる食事って素敵だなぁと思わされた。

焼肉

 これは日本語が通じる喜びというのか、「地元民から教わる情報の濃さ」にノックアウトされた感じ。バルセロナにとてもおいしいお店があるんだけど、価格的にもういけないかな…と思っている。

 …という話の流れで、地元産のお肉を扱う焼肉屋さんにいったら、肉質と値段が良い意味で釣り合ってないお店で、心配になるほどありがたかった。

 外食は「情報を食べる」なんて言われることがあるけど、「自分も知っているブランド牛が!」「自分の知っている通貨のこの値段で‼」みたいな、解像度の高い情報をとれると、満足度は変わるのかもしれない。

回転寿司

 少し毛色が変わるけど、回転ずしはエンタメとしても素晴らしい。友人に見せるための動画を撮るだけのつもりが、うっかり童心にもどって楽しんでしまった。

 こちらのお寿司はサーモンとツナと裏巻き(黒い食べ物に抵抗があるためか、巻物でも海苔を内側にする)がメイン。それに比べると、通常レーンをゆっくり流れていくお寿司はカラフルでなんとも華やか。そこに注文品を別送してくるお急ぎレーン、ハンバーグのお寿司、お皿を勝手に数えてくれる投入口や一定枚数で遊べるガチャガチャが加わると、面白い!と思う気持ちが止まらない。

 回転ずしには食と効率と楽しさが混在している。これはクレイジーと褒められる(?)のも納得。

卵かけご飯・半熟目玉焼き

 生卵には一応気を付けようと思っていたので、スペインでは7割以上固まっていないと食べないようにしていた。なので、とろとろの卵料理は帰国当初かなり堪能した。

 特に目玉焼きは半熟派なので、ここぞとばかりに半熟を食べ続けた。逆に、卵かけご飯は意外とすぐに満足してしまった。

納豆

 帰国期間中、累計で一番食べたのが納豆。もともと好きだったし、安くたくさん手に入るし、いろんな味のタレが出ているし、タレの袋が進化しまくっていていちいち感心してしまうし…。見かけるたびに買い、買うたびにきっちり消費していたら大変な量になってしまった。たぶん2カ月で30パックくらい食べたと思う。

 持っていくにはいろんな意味でハードルが高いのが残念。

麦茶

 ゆっくり淹れてカップを揺らしながら…とかじゃなく、気軽に飲める冷たいお茶があるのはとても良い。こちらにもあるにはあるんだけど、たしか、日本で200円くらいの水出し麦茶が、こちらでは10ユーロくらい。そこまでして飲みたいか?というと、ちょっと悩ましい。食べてうれしかったものの話といいつつ、個人的な経済観念を披露しているだけのような気もするが。

 そういえば、麦茶はあんまりメジャーではないようで、人前で飲むと「それ何?」とめちゃくちゃ聞かれる。当初は「焙煎した大麦で作るお茶だよ」とだけ説明していたんだけど、ふうん、ユニークな飲み物だねぇ~…みたいな反応が返ってくることが割とあった。なので、最近は「ミネラルが多いと言われていて、日本の蒸し暑い夏にぴったりなんだよ。学校にも持っていくし、友達の家でもごちそうになるよ。カフェインレスだから私は大人になっても普段から飲むし」くらいねっとりと解説している。このくらい力説すると、「よし、私も頼んでみる!」という子が出てくる。しめしめ。

番外編

 不覚にも感激してしまったのは…恥ずかしながら「揚げ玉」。

 たぶん、この食感が久しぶりだったからだと思う。軽やかで歯ごたえがよくて…。そうめんや納豆に混ぜて食べると特に楽しかった。久々の和食三昧で食傷気味な時でも、ちょっと変化をつけられるのが良い。天ぷらのところでも書いたけど、やっぱりこの食感の絶妙さはほかになくて好きなのかもしれない。

 というか、chifrijoのレシピを勝手に紹介した記事でも食感の楽しさを礼賛した気がする。

 バカ舌だけど、意外と歯ごたえや彩りにこだわりがあるんだな。新発見。