エル・クラシコとコーラの話
エル・クラシコ(El Clásico)とは、FCバルセロナとレアル・マドリードの試合のこと。日本でもプロ野球の阪神vs巨人戦を「伝統の一戦」と呼ぶように、地元民やサポーターのプライドがかかった、とてもアツい試合だ。関西出身なので、必要に応じて阪神でたとえることにした
そんなエル・クラシコのチケットが取れたので、カンプノウ(Camp Nou)に観に行ってきた。サッカーどころかスポーツのことはさっぱりだけど、面白かったことを記録に残しておく。目次はこんな感じ。タイトル通り、時々コーラが登場します。
入場時&これまでの試合との違い
実はカンプノウには何度か行ったことがある。これまではコロナの影響でキャパシティの4割くらいしか観客を入れられなかったため、自分たちの上下左右は無人で、市松模様のような席配置だった。混雑も特になく、すいすいと席までたどり着けた。その時の席の埋まり具合はこんな感じ。
今回は入場制限が緩和されたため、これまでみたことがないほどの大入り。警備も厳重で、入場ゲートでのチケット確認と持ち物検査がかなり混んでいた。水や危険物になりそうなものを持っていないか厳しくチェックされる。ボディチェックもあった。
飲食物の売店も営業していて、せっかくだからとコーラとホットドッグを買ってみたんだけど、ペットボトルのふたはその場で開けられ、回収されてしまった。液体入りのペットボトルをふたが閉まった状態で投げた危ないからかな。でも、蓋がないってわかっていたら水にしておいたのに…
圧巻のイムノ
席を見つけたら間もなく試合開始。カンプノウでは、試合の前と後にイムノ(Himno:賛美歌や聖歌という意味で、チームアンセムのこと。六甲おろしみたいな感じ?)が流れる。開始前のイムノはサポーターも歌う。
各座席には、イムノの歌詞カードが置かれていた。席の位置によって赤や青など裏面の色が違い、これを教科書の音読のように目の前に掲げて歌うことで、自動的にマスゲーム状態になる仕組み。臙脂と青がバルセロナのチームカラーなので、スタジアムがバルサ色に染まる瞬間だ。イムノの歌詞に"som la gent blau-grana(カタルーニャ語で「私たちは青・臙脂の人々」)"とある通り、臙脂と青(ブラウグラナ)の一員になれる。※カタルーニャ語→スペイン語はグーグル翻訳と辞書、スペイン語→日本語は直訳。「ブラウグラナ」だけで、FCバルセロナや、そのサポーターという意味もあると思う
イムノが始まった時、私は両手にふたのないコーラを持って途方にくれていたのだけど、サポーターたちの声援がすごくて、手の中のコーラが震えていたのに衝撃を受けた。ライブにいって音圧で体がビリビリすることはあったし、空気が揺れるという感覚も知っていたけど、飲み物も震えるなんて思いもよらず驚いた。たぶんここでコーラの炭酸が少し抜けたと思う。
バルサファンの反応
カンプノウはバルサのホームスタジアムなので、周りは大多数がバルサファン。相手チームがボールを持っているだけでブーイングし、納得いかないことがあれば全身で抗議する。チャンスをものにできなければスタジアムじゅうがため息をつくし、得点にならなくてもいいプレイなら拍手を送る。喜怒哀楽がわかりやすいから親しみがわく。試合の内容がわからない素人でも、なんとなく流れを察することができて楽しい。
しかし、期待の裏返しなのか、見切りをつけるのも早い!この日は1-2で負けたのだけど、後半、流れが悪くなったあたりで早々に帰る人が何人もいたし、イムノの歌詞カードを紙飛行機にして投げているのも何度か見た。「バルサは今年は良くない。負け試合にお金は出したくない」とはっきり言う人もいて、良くも悪くも厳しい。実際、今回はチケットがぎりぎりまで売れ残っていたし。
そんなアツい人たちとトラブルになったら困るな…と早い段階で思い、コーラはこぼす前に急いで飲んでしまった。飲みきるまでの間、ボトルが倒れないか気が気ではなかったので、あまり試合内容を覚えていない。次があればコーラは買わない。
結論:エル・クラシコは楽しい
今まで見た数試合の中で、間違いなく一番熱量があり、楽しめた。試合としてももちろん面白いし、お祭り的な楽しさもあるかもしれない。新しい土地で地元の人たちと熱狂を分かち合う一体感には、何にも代えがたい価値がある。
ついでに、飲み物を買うなら、蓋がなくてもまずくならず、こぼしても問題になりにくい飲み物を選びたい。帰りはバスやタクシーが混むので、複数の帰路を想定しておくとスムーズ。席と時間によっては日差しがきついので、帰ったらすぐスポーツドリンクを飲めるようにしておくとなおいい。