がんばるせろな(仮)

夫のバルセロナ留学についてきた30代。コロナ禍のスペインをじたばた生きてます

英語を我慢できた日

 こちらにきて3カ月になろうというところで、やっとお店でのやり取りを英語なしでできたので、記念に書いておく。何と戦ったわけでもなく、写真も目次もない、ただの記録。

 

 私は月1回、vodafoneのお店に行っている。プリペイドSIMの支払いのためだ。 

 日本でSIMフリーにしておいたiPhoneに、vodafoneESのプリペイドSIMカードを入れて使っている。今契約しているのは、28日ごとに10ユーロで12GB(サービス期間は24GB)のデータ通信と300分の国内外通話がついたプラン。石造りの建物の中では電波が悪くなりがちだけど、日本と比べると安いので文句は言わない。

 で、月々の支払いはオンラインでできるよ!と聞いたのだけど、できなかった。たぶん、日本発行のクレジットカードでは支払いを受け付けられないとか、そういう理由だと思う。通信料を確認できたり、支払いができるアプリもあるんだけど、ダウンロードできない。これはアカウントの国籍の問題かな?よくわからない。

 月1回のことなので戦うほどでもないな~、という感じで、都度vodafoneのお店に出向いてお金をチャージしてもらう。これで事足りているからいちいち戦わないでおこうと思っているあたり、スペインに染まってきている気がしなくもない…。

 

 というわけで、ボーダフォンのお店が、自分のスペイン語力の定点観測に非常に役立ってくれた。8,9,10月と通って、3度目となる今日、やっと一切英語を使わず、もちろん日本語も使わず、すべてのやり取りをスペイン語で終えられた。

 私の用件とそれに必要な語彙は決まっているから脳内リハーサルは毎回していくんだけど、「英語の方が早いな」「何言われてるかわかんないな」とか言い訳して毎回ちょっと英語に頼っていた。今日はいつもの「プリペイドSIMのお金を払いたい」だけじゃなく「こんなプランに変えたい」という話もして、何往復もやり取りがあり、初めて会話らしい会話になったので、心の中でガッツポーズ。いつもより難しいことをしてるのに、英語でしゃべりたいとも思わなかったところに少し成長を感じる。

 といっても、店員さんはいつも同じお姉さんが1人だけなので、覚えられただけかもしれない。あと、外国人が良く来そうな立地のお店だから、慣れててゆっくり話してくれたり待ってくれたりしたというのも大きい。単語の羅列でもわかってくれたお姉さんには感謝。

 プリペイドカードのチャージ自体はvodafoneのお店じゃなくてもできるらしいのだけど、ほかのお店でスペイン語で用件が伝えられるか自信がなかった。次の目標は正規店以外でのチャージに挑むこと。

 ちなみに、初めてボーダフォンに行ったときは「電話番号の数字を全部スペイン語で言えた!」で喜んでいた記憶がある。2回目は考えすぎてスペイン語が出てこなかった。そこから比べると割と進歩していると思う。

 

電話がらみで使いそうな表現

prepago プリペイド

llamadas nacionales e internacionales 国内通話と国際通話

recargar (プリペイドカードに)お金をチャージする(動詞)

tarifa 料金

¿Cuál es tu número de teléfono/móvil? あなたの電話番号は?

 スペインに国際電話を掛けるときの国番号は34。電話番号は6か7か9から始まるらしい。

 スペインから日本に国際電話を掛けるときは、国際電話だよという印の「00」と、日本の国番号81を頭につけ、市外局番の最初の0を除いた番号を続ける。たとえば、日本の0123ー456ー789にかけたい場合、0081ー123ー456ー789になるはず。まだかけたことがないから未確認。

紙製の切符と戦った話

 ●●と戦ったシリーズ、今回は我が家ではなくて公共交通機関の話です。バルセロナに大きな不満はないけれど、今回はちょっと本気で困った話。一応、解決済み。

  • バルセロナの公共交通機関の切符は紙製
  • そしてすぐダメになる
  • ダメになる理由が、まあまあひどい
  • 対処法に脱力
  • 他にできること2つ
  • おわりに(紙の切符vs日本のICカード

こんな感じで書きました。

公共交通機関の切符は紙製です

 バルセロナバスや電車の切符は、紙製。仕組みをざっくり説明すると、距離に応じて運賃が変わるんだけど、その区分けが広い。たとえばバルセロナ市内なら同一料金で乗降できる。どの区間で乗降するかと、利用回数(または利用人数)を先に決めて買う。ICカードみたいなチャージ式ではない。

 2021年10月現在、バルセロナ市内(ゾーン1)の1回券なら2.4ユーロ。T-casualという10回券は11.35ユーロ。何度も使うなら絶対に10回券のほうがお得。他にも、複数人で使いまわせる回数券や「30日間乗り放題券」みたいなのもあるから、1回券を買うことは非常に少ない。

 でも、ヘビーユースする切符が紙。官製はがきくらいの厚紙。

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 切符実物を横から撮ったらこんな感じ。手持ちのカード類は身分証とかクレジットカードとか大事なものばかりだったので比較写真が取れなかった。とてもはがきっぽい。

切符がすぐダメになってしまう

 切符の裏側には磁気テープがついているんだけど、これが本当にすぐダメになる。私が使っているのはT-usualという切符。40ユーロで、バルセロナ市内なら30日間乗り放題みたいな感じだ。これを30日間で取り替えてもらうこと4回。週1でおかしくなるなんて、はっきり言って頻繁過ぎる。

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T-casualの表(左)とT-usualの裏(右)。
どっちが磁気テープかわからないけど、銀色のテープが幅4ミリ、黒い線は幅3ミリ。

ダメになる理由がまあまあひどい

 磁気が出るようなものは持っていないし…いつも財布にいれるから、出し入れする時にこすれてるのかな?と思って現地人の友人に聞いてみたら「超わかる!ひどいよね」と前置きしたうえで、「いつも同じ駅で乗り降りする?いつダメになる?」など細かく事情聴取された。やけに詳しく聞かれるなぁと思ったら「この改札機を通すとダメになる!っていうハズレマシンが時々あるから聞いたんだよ」とのこと。

 私のいつも使ってる改札口、入場用の改札機が1台しかないんだけど…。まさかそれがハズレマシンなのか。じゃあ毎日ダメになるリスクと戦うってこと?

対処法に脱力

 文句を垂れていると、彼女が一言「じゃあ改札機のせいじゃないかな。ほかの改札口はない?別の機械だったら通ることあるよ!」

 そんなまさか、機械をかえればいいなんて…と思いながら駅員さんに5回目となる「磁気テープがダメって…」の相談。今までの4回は新しい切符に取り換えてくれたけど、今回は端っこの改札から順に通して、通ったところで「大丈夫だったよ!」と微笑まれた。そして翌朝、最寄りの駅の大きい方の改札まで行き、いつもと違う改札機を試してみたら、あっさり通った。今までの苦労は一体…。

 彼女は「改札機、切符のえり好みが激しいからなぁ。磁気テープが本当に壊れていることは少なくて、大体改札のせいだと思う」とも言っていた。たまに改札機をはしごしている人がいるのは、これが理由だったのかな…と、一人で納得した。同じようにはじかれた切符でも、バスの検札機なら大丈夫だった例もあるので、場所を変えるというのは割と有効なのかもしれない。

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カタルーニャ語で「磁気テープのない切符」と言われているところ。泣ける

 もちろん、切符が物理的に折れている、磁気テープがしわになっている時もはじかれることはある。こういう時はツメでこすってテープを伸ばすと通ったりする。アナログ万歳と思う瞬間だ。

他にできること2つ

 1つめは、既出だけど、切符を新しいものに取り換えてもらうこと。T-usual(30日乗り放題みたいな券)の場合、灰色の制服の駅職員さんに言えば1分くらいで取り替えてもらえた。近くに誰もいなくても、券売機の左下にある「i」ボタンを押せばインフォメーションセンターと通話ができ、職員さんが来てくれた。T-casual(10回券)やほかの券についてはどうかわからないけど、英語とジェスチャーでもなんとかなったから、聞いてみる価値はありそうに思う。

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※灰色にオレンジで書いてあり、しばらく気づかずにiボタンを探し続けた。なので写真を置いておく。

 2つめは、カードケースに入れて保管すること。友人には、パスケースみたいな穴の開いたビニールカバーではなくて、プラスチック製のクレジットカードケースのようなのを勧められた。自分の管理のせいじゃない!と思うためにはあってもいいのかも。

 どちらも(というかどれも)根本的な解決ではないんだけど、知っておくと気持ちに余裕が生まれる気がする。

おわりに(紙切符vs日本のICカード

 短距離で細かく値段を刻んでいく日本式なら、ICカードやモバイルスイカみたいなのにお金をチャージしておくのが楽だけど、そうなると複数人で使いまわす回数券みたいなシステムは難しそうだ。すぐ帰る旅行客がICカードを使った場合、キリの良い値段をチャージして払い戻すのは手間かな?という気もする。

 同一運賃で乗り降りできる区間が広くて、最初に回数券を買い切るのが実用的なバルセロナ式なら、紙にも充分利点がある気がする。数日しかいない旅行客でも使いきりやすいと思うし、交通費の安さには感謝しているので、あまり文句は言えない。

 どちらのシステムにもそうなった理由があるだろうし、メリットデメリットも単純に比較できるものではないと思う。ただ、それはそれ、これはこれ。切符がはじかれたときにドキッとせず、落ち着いて対処できるようにはなりたい。というか、できればはじかないでほしい。

バルセロナでハマった意外な飲食物6つ+α

 バルセロナに来て2カ月。いろんなものを食べたけど、パエリヤやスペイン風オムレツ、ワインといった「イメージしやすいスペインごはん」以外にこんなものがおいしかったという話(2021年10月時点での感想)。冒険心で頼んでおいしかったものばかりなので、無粋だと思いつつ、自分の身近にあるものの味に例えていく。

 近いうちに我が家以外の問題と戦った話をしたいので、一回スペインあげの回。

ビキニ

 水着ではなくて、「ハムとチーズのホットサンド」のこと。食パンで作ってあることが多くて、ほかのサンドイッチより少し安いのにカリカリでめちゃくちゃおいしい。もうほかのサンドイッチはいらないレベル。

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典型的なビキニ。普通のホットサンドだと思って食べると、驚きで幸せになれる(かも)

 このホットサンドはバルセロナの「ビキニ」というディスコが発祥で、「ビキニで出してるやつお願い!」という注文が増えたので店名がメニュー名になった…らしい(語学学校の先生談)。バルセロナ以外の街で「ビキニが大好物!」「朝ビキニ食べたよ~」というと変な顔をされるからね!ダメだからね!と、何度も言われた。たぶん、この話は在住者にとっては鉄板ネタ。

ロシアンサラダ

 こちらではもっぱらロシアンサラダで通っているけど、オリビエサラダとも言うのかもしれない。ポテトサラダに魚やお肉がいっぱい入っている感じ。平たく言えば、ツナマヨの中身の味(ただし豪華)。ロシアの人ごめんなさい。でもロシアの人ツナマヨおにぎり好きなんじゃないかな?って思ったりする。

 ごはんを炊いて、ロシアンサラダをのせて、海苔を巻く。ちょっと豪華なツナマヨおにぎりの出来上がり。ツナも普通に買えるから、わざわざロシアンサラダでやる必要もないんだけど、手軽さが良い。

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 私は日本食がなくても平気な方だから、ロシアンサラダ単体でよく食べる。

ビッチー

 VICHY CATALANというブランドの炭酸水とジュースがおいしすぎて困っている。買っても1日でなくなる。本当に困るので、近所のどのスーパーで売っているかは把握済み。自分でも驚きだけど、現時点での日本に持ち帰りたいもの1位はこれ。まさかの水とジュース。

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 こちらでは外食に行ってもお水がタダで出てくることはない。お酒は飲めないので「ただの水よりはお金払う意味あるかな~」というケチ心で炭酸水を頼む。すると大体ビッチーが出てきて、どんどん好きになってしまった。温泉からとられた水らしいと聞いたことがある。ミネラルの味なのか、ほんのり甘くてまろやかで複雑な味(味付きの水とか透明なジュースがダメな人には強くはお勧めできないかも)。

 これのレモンジュースがまた信じられないおいしさ。ジュース独特の甘ったるい後味が少なく、ファンタレモンよりキレがある感じ。マッチをもうちょっとナチュラルよりにした味というか、オランジーナのレモン版にほど近いというか。ボトルのかわいらしさもポイントが高い。

 ちなみに、炭酸水を頼んでビッチーじゃないときは、だいたいサンペレグリノ(たぶんイタリアの炭酸水。クセがなくて飲みやすい)。ちょっといいお店だと、店名入りのボトルが出てくるので、利き炭酸水ができるかも。※私にはできない

ココナッツヨーグルト

 ヨーグルトは味も種類も豊富(別記事を予定)。日本ではフルーツ入りやアロエ入りをよく食べていて、ココナッツ味は見たことがなかった。ヨーグルトと合わせるとこんなに濃い香りを楽しめるのか!という驚きがすごい。あと、イチゴ味とかは少し甘みがきつくてフルーチェ風味を感じる時があるんだけど、ココナッツ味はそこまでいかない。ココナッツの香りで酸味の角がとれて、ソフールっぽい食感になっていると思う。

 おいしいメレンゲ菓子を売っているお店であれこれ頼んでみた時も、ココナッツ味が一番気に入った。迷ったらココナッツなのかもしれない。

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ヨーグルトはうっかり食べきってしまったので、メレンゲ菓子の方の写真を置いておく。

ナチュラルオレンジジュース

 カフェにいくと大体フルーツを絞る専用の機械があって、その場で絞ってくれる。スーパーにも絞り機があって、自分で動かして好きな量を買える。さすがオレンジの国!生のオレンジがジュースになっていく様子を見られるので、毎回ワクワクする。防腐剤や添加物に厳しいようなので、24時間以内に飲みきってね!と書いてあることが多いかな。

 機械の上の籠に生オレンジが載っていて、一つずつ中に転がっていってぎゅーっとプレスされる。オレンジのサイズにもよるけど、1リットルで12〜13個分くらい。

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 濃縮還元のものよりサラっとしているので、飲んだ後喉の渇きが少ない。ビタミンを摂れる気がするから、疲れたな~というときに飲む。ただ、コーヒーやビールに比べるとちょっと高い。

中南米料理

 恥ずかしながら、盲点だった。中南米料理がおいしくないわけがない。今思うと当然だ。スペイン料理にはあまり辛いものがないので、辛さや細かい味付けはスペインの味覚に合わせているのかも?と思うけど、それがいろんな意味でちょうどよい。豆料理は今のところハズレがないし、トロピカルなデザートも楽しい。グァバのソースがかかったチーズケーキはぜひリピートしたい。

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豆のケサディーヤとグアバチーズケーキ(それぞれ別のお店)

番外編

 これは完全に中南米(おそらくメキシコ?)の飲み物っぽいので番外編だけど、Agua de Jamaica(アグア・デ・ハマイカというハイビスカスウォーターがめちゃくちゃおいしい。サンザシのドライフルーツをそのまま飲んでいるみたいな甘酸っぱさで、こっくりまろやか。たぶんきっとお肌にいいに違いない!と思う味。中南米料理屋にいくと、ビッチーじゃなくてアグアデハマイカはあるか?と聞くようになった。

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 ハマイカの正体については全然知らないし、画像検索をしてもピンとこないけど、メニュー表だと「フルーツウォーター」のコーナーに書いてあることが多い。ハマイカの現物かアグアデハマイカのもとを探しに、ラテンアメリカマーケットに行ってみようと思っているところ。

回りすぎる鍵と戦っている話

 我が家の●●と戦っている話シリーズ第3弾は、鍵の話。概略はこう。

  • 部屋の鍵を使う練習をしに、2人で部屋の外へ
  • 回り続ける鍵、手ごたえのないドア
  • ドアノブがとれそうになった
  • ドアノブを引きながら、4回転+αで開く。フィギュアですか?
  • 家に鍵を忘れると外からは開かなくなる

鍵あけの練習に、2人で部屋の外へ

 初めてピソの鍵をもらった直後、夫と2人で「鍵がちゃんと使えるか練習しよ」と言って部屋の外に出た。これはが全ての始まりだった。

 まさか鍵と戦うはめになるとは思っていなかったから、練習しておいてよかった。が、2人とも部屋の外に出て扉を閉めてしまったのがいけなかった。だって、本当に10分くらい鍵を開けられず、2人そろって締め出しを食らったから。

むなしく回り続ける鍵、ドアには変化なし

 我が家の鍵は、完全に閉まった状態から鍵を開けるには、鍵を差し込んで4回転させないといけない。その逆も然り。当然そんなことは知らないので、まずは「こんなに回るのは変だ」と思った。次に、ひたすら鍵を回し続けている気持ちになる。そして、ようやく回しきったと思っても、ドアが動く気配がない。開けるつもりで閉めちゃったかな?!とやり直すとまた4回転…。あれ、今何回転したっけ。でも、手ごたえゼロ。へんじがない。ただのドアのようだ。いや、ただのドアなら何も言わずに開いてくれ。

ついにドアノブがとれかける

 日本の一般的な住まいだと、鍵を開けた状態でドアノブをガチャガチャ動かすとドアが開く仕組みだと思う。でも、うちのドアノブは動かないし回らない。鍵は回しきったから次はドアノブかな…と思ってドアノブをひねっていたら、どんどんゆるんできて、危うく外れそうになった。

 鍵が開かないうえにノブまで取れたら、入居初日にして家が嫌いになるところだ。ちなみに、外側のドアノブは本当にどこにもつながっていないので回す意味は皆無。ドアノブを手に立ち尽くす羽目にならなくてよかった。

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ドアの写真。外側のドアノブは扉の開閉に関係ないのが(今なら)わかる

コツは4回転+α。これはもうスポーツ

 2人でおろおろしていたら、さっき契約書の取り交わしをしたばかりの管理人さんが通りかかったので「鍵が開けられないから実演してほしい」と頼んだ。1秒で開くドア。代わってやってみると、動きもしないドア。

 もう一回!もう一回!とアンコールを繰り出し、わかったのは「鍵を回しきった状態でドアノブを手前に引くと、もうちょっと回せるようになる。そこで限界まで鍵を回しきると、ドアを押して開けられるようになる」ということだった。自分で書いていてもさっぱり構造がわからない。

 「4回転+αってフィギュアみたい~」と思ってしまったので、個人的にこの「ドアノブを引きながら限界を超えて鍵を回す」部分のことを「アクセル」と呼んでいる。誰にも伝わらないとは思いつつ、気分はクワドラプルアクセル。

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 似た鍵で困っている人の参考になるかもしれないので大まかな形を再掲。

 ※実はプラスαの部分は半回転までいかないので、アクセルは言い過ぎなんだけど、自分用語だからヨシ!スノボの知識があったらもっといい名前を思いついたのかもしれない。

鍵を家に忘れるとヤバい

 繰り返しになるが、外側のドアノブは開閉の構造のどこにもつながっていない。ただドアという大きな板を押し引きするためだけにある。外側からドアを開けるには「アクセル=ドアノブを引きながら鍵を回す」しかない。つまり、鍵がささっていないとドアが開かない。

 なので、鍵を家の中に忘れてドアを閉めた場合、実質オートロック状態になってしまう。まだ経験はないけど、鍵開け屋さんを呼ぶと時間もお金もすごくかかるそうだ。というわけで、実は扉さえしまっていれば、鍵は何度も回さなくてもいいのでは…?と思いつつある今日この頃。そんなことより、鍵を忘れないことの方が大事な気がする。

 といいつつ、ドアの写真を撮るために部屋の外に出るとき鍵を忘れかけた。最大の敵は鍵じゃなくてうっかりなのかもしれない。

 

 

 

気難しいシャワーと戦っている話

 我が家の●●と戦った話シリーズ第2弾は、シャワーです(第3弾は鍵の予定)。ざっくりとした目次はこんな感じ。

  • Welcomeという皮肉、というか冗談
  • うちのシャワー、気難しいかも
  • 海外の反応
  • 補足

ようこそ!という皮肉

 Welcome to Japan!とか、Welcome to (場所)!という表現は、歓迎以外に、皮肉っぽく、冗談っぽく使われることがある。

 たとえば日本に観光に来た友達が「電車混みすぎ」「背が高い自分にはすべてが小さいよ!」と言ってきたら、Welcome to Japan!と返事をする。だいたい「だって、それが日本だよ」みたいな意味になると思う。指摘されても個人ではどうしようもない、文化的な背景があることや一般的なことがらについて言う気がする。

 今日は、Welcome to western civilization(それが西洋文明だよ)と言われた話。

うちのシャワー、ちょっと難しい子なんです

 きっかけは、タイトル通り、我が家のシャワー。映り込みがすごいので写真はとれないけど、ノブを手前に引くと水が出る。そのまま右に回せば冷水、左に回せばお湯が出る。はずなんだけど、これがめちゃくちゃむずかしい。こんな感じ。

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 伝えたいのは、温度調整の目盛りがないことと、適温ゾーンの狭さ。ちょっとずれるとお風呂場で踊り出してしまうほどあっついお湯(というか熱湯)が降り注ぐし、ちょっとぬるめようとするとキンキンに冷えた水が出てきてビクッとする。

 あと、図解した通り、温度の変わり方がまったくグラデーションではない。ポケモンの進化並みに突然別物に切り替わるので、毎日びっくりして風呂場で踊っている。びっくりしすぎて転んだことも2回くらいある。

 そして、何がつらいかというと、この適温ゾーンが、日によって若干動くこと。

 室内にお湯をためておくタンクがあって、そこに充分なお湯がたまっていれば大体図解した通りのお湯の出方になる。家族がシャワーを使った後にすぐ自分も続けて…と思うと、お湯が少ないからか、ドラゴンモードにしてもぬるい。そしてドラゴンモードにしていた痕跡を見て、家族に「お前ドラゴン浴びたの?」という顔をされるという仕組み。逆に掃除のためにいてつくはどうモードにしたままだと「水垢離でもしたのか」となる。

海外の反応

 シャワーの扱いづらさは海外掲示板でも話題になっていたことがあり、上の図はその時見かけた画像を基に自分で書いてみたもの。元ネタの方では、適温とマグマの間に「冷たい?」というゾーンがあった。激熱のお湯の前に一瞬冷たくなるのも経験があるので、笑ってしまった。

 ほかの国の人も同じことを思うのかな?と考えてSNSでシェアしてみたら、何人かが「これはマジ笑」「前住んでいたところは、これと同じだけど緑のゾーンがなかった!」とわざわざリアクションをくれた。

 そして、極めつけが「welcome to western civilization」という一言。もう、西洋に住んでいる人がこういう以上、これが西洋なのだ(※)。少なくともこの子は若干あきらめて皮肉モードに入っている。

 ならば私も潔く諦めねばなるまい。というわけで、「冬までに一発で適温を出せるようになる」を目標に、小さな戦いが続いている。まずは我慢強くお湯がたまるのを待つところから。

※西洋文明の名誉のために

 申し添えると、ちゃんと温度を保てるシャワーもあるらしいし、温度調整用のサーモスタット?水栓?も売られている。寒い国では日本と同じように温度を調整するシャワーがあるとも聞いた。これはあくまで我が家(と数人の友達)のシャワーの話。

 

 

 

暦の上では秋ですので!以上!

 最近語学学校の先生が「夏が終わるよ~遊びに行かなくちゃ~」と嘆きまくっていた。それはもう、うるさいくらいに。そして、言葉通り朝晩20度を切るようになってきたので、カタルーニャ出身の友人に「朝晩寒いけど、夏ってもう終わったん?」と聞いてみたら、予想外の答えが返ってきた。

 「今日か明日が、秋の1日目だったと思う!(※9月21日の会話)」

 「ん?いやにはっきり言うけど、カレンダーに書いてあったりするん?」

 「確か3か月ごとの21日あたりで季節が変わるのよ~」

ほえー牧場物語みてぇだぁ~と思っていたら、今日(9月22日)のグーグルのトップ画像がコレ。

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 秋です。検索して一番上に出てくるこの画面(スぺニットだったっけ?)にも書いてあった。一番下に、しっかり日付が入っている。

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 私は毎回体感で季節の変わり目を感じていて、強いて言えば台風がきて空気が入れ替わったら秋を感じることが多い気がする…くらいに思っている。なので、ここまできっちり季節を区切っていることが意外だった。

 せっかくなので、日本にもカレンダー上に季節の変わり目が書いてある場合があること、実情と一致していなくて、ニュースや手紙などのフォーマルな場面では「暦の上では春ですが…」「でもまだ寒いですね」みたいな挨拶表現を使うよって教えてみたら、面白がってくれた。

 「同じような会話はするけど、暦の上では…とまで踏み込んだ表現はしないから新鮮」とのこと。暦に沿って決まった日付になったら秋!という考えだったら、いちいち暦と現実のミスマッチにケチはつけないだろうなぁ。

 というわけで、暦の上では秋ですので!どれだけ暑さが厳しかろうと、スペイン人的には夏は終わっています!たぶん。少なくともこの友人と先生にとっては。

 

 ちなみに10月にはサマータイムの終わりがあり、11月1日は国の休日で、何日かまとめて休みにすることが多いらしい。などなど、日付にまつわる色々を教えてもらい、カレンダーに書いておいた。知らない祝日が多くて楽しい。

 ついでにほかの季節の変わり目もチェックしておいた。3月22日~6月21日が春、6月22日~9月21日が夏、9月22日~12月21日が秋、12月22日~3月21日が冬ってことになるのかな。これが体感としてあってるかどうかも、せっかくなので確かめてみようと思う。

 夏の定義は特に異論はないけど、クリスマス間際まで秋でいいのかと、3月21日が冬なら、この友人が日本の桜満開の卒業式を見たら冬だと思うのかが気になっている。

「好き」の理由って何?カレーとラーメンから始まる自己分析

 いろんな国から来たいろんな人とご飯を食べていると、ものすごく注文が多い。食べる量ではなくて、注文の多い料理店」の方の注文(?)が多い

 「あとで気持ち悪くなるから魚介類は食べない」「ぺスカタリアン(肉は食べないけど魚はOK)なの!」「豚は食べないよ」「牛より鶏がいい」「牛乳が入ってるのは無理なんだ~」「牛すじみたいなグニグニは無理…」「こってりはNG」など。思いだせるだけでもこんなにあるし、飲み物だってノンカフェイン、ノンシュガー、ノンアルコール…などなど、こだわりも様々。毎回何の肉か確かめるし、基本的にみんな脂や糖の質にはものすごくうるさい。

 体質、宗教、信条、好み、経験則など、理由も多様だ(言っても言わなくてもOKだけど)。だから、何人かでご飯を食べるとみんなが食べられるものを探して折り合いをつけるのに少し時間がかかる。それが楽しいところでもあるのだけど、それを飛び越える食べ物が、私の知る限り2つある。それがカレーとラーメン。なんとなくカレーっぽい色で書いてみた。

 この2つに関しては、上で挙げたようなやり取りが少し短くなる。一応材料の説明は求められるけど、「ラーメンならこってりしててもいい!」とか、確認事項が少し減る感じだ。日本食知ってるよ!ラーメン!ジャパニーズカリー!(わざわざジャパニーズと言ってくれるあたりが優しい)って言われたり。

 カレーとラーメンの何がそこまでさせるのか聞いてみたことがあるが、「だってすごくおいしいもん!」で終わってしまった。あれだけ自分の好みや食事スタイルを雄弁に説明する人たちが、たった一言で答えてくるのが、ちょっと面白くてかわいい

 私には食事の席で言うほどの好き嫌いはないし、一般的にも好き嫌いはよくないことだと言われているように思う。だからなのか「何ならおいしく食べられて、何は違うのか」をニュートラルに説明する機会もなかった。そして、改めて考えてみると、嫌いなことの言い訳は思いつきそうだけど、自分が何かを好きである理由を説明するのって、意外と難しい

 私はチーズやニンニクが好きだけど、理由を50字以内で(または300単語以上で)説明せよ!と言われても、困ってしまう。だっておいしいし。「味・香り・食感が好き」「チーズって何にでも合うし」と、一段階詳しい説明に逃げて1ターンしのいだとして、もう一度「なんで?」と聞かれたらお手上げだ。何が原体験になっているか、自分でもわからない。たぶん、そういう好きもある。理由を説明できる「好き」って、ちょっと薄っぺらかったり、言い訳がましい気もするし。でも、それをあえて考えてみたら、自分の引き出しが増えるんじゃないか…と、カレースプーンを握りながら思ってしまったのだ。我ながらぶっ飛んでいると思う。

 たとえば、編み物が好きな理由なら多少説明できる。編み図があるから自分がどこをやっているか迷わないし、やり直しもきく。自分さえあきらめなければ果てしない大作でもいつか完成するという安心感と、終わったときの達成感が楽しい。自分にしかわからない小さなミスを「まぁいいか」で済ませず、「こだわって間違いなくやろう!」と期限を気にせずこだわれるのも、仕事ではない趣味ならではの楽しみだ。誰かに贈るものなら、その人のことを編んでいる間中考えていられるのでちょっと幸せな気分にもなれる。ハラハラせず、コツコツと、こだわって、過程を楽しむ。これが自分にとってのキーワード。

 編み物を始めた当初は何が楽しいのか自分でもわからなかった。「編み物っておばあちゃんの趣味でしょ…」と怪訝な顔をする友人に、それは違う!と言いたい一心でこれだけ言えるようになった。この必死さに折れてくれただけかもしれないが「そういうことならちょっとわかるわ」と言ってもらえているので、「だって好きなんだもん」で止まっていたころよりは建設的なんじゃないかと思う。

 3か国語話せる人が、日本語だけ話せる人の3倍のトピックを話せるとは限らない(と思うのは、話したいことに外国語がついてこない自分の願望だろうか)。結局、その人の中にどれくらいの引き出しがあるかは、見聞きして考えてきた量に左右されるのではないかと思っている。

 自分が言いたいと思ったことがあること、説明したいと思ったことがあることでないと、どの言葉でも言えない気がする。ある日突然スペイン語だけで言えるようになるとは思わない。だからこうして今日も、ネットの片隅で思考をこねくり回している。チーズとニンニクを食べるのは自己分析のためだ、という言い訳をしつつ。